交通事故による脳震盪の後遺障害と賠償
脳震盪は、交通事故などで頭部に衝撃を受けた後、一時的な意識障害、記憶の抜け、頭痛、めまい、吐き気などが生じる状態です。CTやMRIで明らかな脳損傷が確認されないこともあります。多くは改善しますが、事故後しばらく頭痛、めまい、光や音への過敏、集中力低下、疲労感などが続く方もいます。後遺障害を検討するときは、画像の有無だけではなく、事故直後からの症状と診療経過を継続して記録できているかが重要です。
このページで押さえる3点
- 事故直後の意識消失、健忘、頭痛、めまいなどをできるだけ早い時期の診療記録に残します。
- CT・MRIで大きな異常がなくても、継続する症状は受診のたびに具体的に伝えます。
- 後遺障害は「脳震盪」という診断名だけで決まらず、症状の一貫性、受診経過、医学的な裏付けをもとに検討されます。
脳震盪でみられる症状
事故直後に意識を失う場合もありますが、必ず意識消失があるとは限りません。事故の前後の記憶が一部ない、頭痛、めまい、吐き気、ふらつき、光や音への過敏、睡眠の乱れ、集中しづらい、疲れやすいなどの症状がみられることがあります。事故後しばらくしてから症状を強く感じる方もいます。
症状が長引く場合は、脳震盪だけでなく、頚部外傷、内耳の障害、他の頭部外傷などが関係していないか医師が評価します。頭痛やめまいは自覚症状であるため、いつ、どの程度、どのような場面で悪化するかを具体的に伝えることが重要です。
事故直後の記録が重要な理由
脳震盪では画像で明らかな異常が確認されないことがあります。そのため、事故直後の意識状態、事故前後の健忘、救急搬送の有無、初診時の症状などが重要な資料になります。「数分間意識を失った」「事故直後の会話を覚えていない」といった情報は、後から思い出しても診療録に残っていなければ確認が難しくなることがあります。
家族や同乗者が事故直後の様子を知っている場合は、本人が覚えていない状況を説明できることがあります。救急隊の記録や事故現場での状況も含め、受傷直後の情報を整理します。
必要な検査・資料
頭部外傷では、症状や受傷状況に応じてCT等の画像検査が行われます。必要に応じてMRIや神経学的診察が行われます。画像で大きな異常がないからといって、本人の症状が存在しないという意味ではありません。一方で、後遺障害認定では自覚症状だけでなく、事故との関係や医学的な説明が重要になります。
確認したい資料としては、救急搬送記録、初診カルテ、事故直後の意識消失・健忘の記録、頭部CT・MRI、通院中の頭痛・めまい・集中力低下などの診療記録、仕事・学業への影響が分かる資料などがあります。症状が変化した場合は、その変化も医師へ伝えます。
通院を自己判断で中断しない
症状が一時的に軽くなったため受診を中断し、その後再び悪化してから受診するケースがあります。医学的に通院が不要と判断された場合は別ですが、症状が続いているのに自己判断で長期間受診しないと、事故後から症状が継続していたことを説明しにくくなる場合があります。
「仕事が忙しい」「痛み止めで我慢できる」といった理由で受診間隔が大きく空くと、保険会社から事故との関係を争われることもあります。通院の必要性や頻度は主治医と相談し、指示に従ってください。
後遺障害認定で問題になるポイント
脳震盪後に頭痛、めまいなどの症状が長期間残った場合、医学的な裏付けや症状の一貫性などに応じて、局部の神経症状として12級13号や14級9号が問題となる場合があります。ただし、「脳震盪と診断されたから14級」「半年通院したから認定」というように機械的に決まるものではありません。
事故態様、受傷直後の症状、受診開始の時期、通院経過、検査結果、症状の一貫性、仕事や生活への影響などを総合して検討します。画像所見が乏しいケースほど、事故直後からの診療記録や症状経過が重要になります。
高次脳機能障害との違い
脳震盪後に集中力低下や物忘れを感じることがありますが、それだけで高次脳機能障害と判断されるわけではありません。事故直後の意識障害、画像所見、認知機能、生活状況などを踏まえ、医師が評価します。日常生活や仕事で明確な変化が続く場合は、家族や勤務先から見た変化を具体的に記録してください。
治療と症状固定
脳震盪後の症状は時間とともに改善することがありますが、回復の速度には個人差があります。症状固定の時期は一律ではなく、治療を続けても大きな改善が見込みにくい状態かどうかを主治医が判断します。保険会社から一定期間が経過したことだけを理由に治療終了を求められた場合は、医学的な治療継続の必要性を主治医へ確認してください。
賠償で確認する項目
治療期間中は、治療費、通院交通費、入通院慰謝料、休業損害などを確認します。後遺障害が認定された場合は、後遺障害慰謝料や逸失利益が問題になります。頭痛やめまいによって仕事を休んだ、業務時間を短縮した、運転や高所作業など特定の業務ができなくなった場合は、勤務状況の資料も残しておきます。
保険会社対応で注意したいこと
画像で明らかな異常がない場合、保険会社から早い段階で治療費打ち切りを打診されることがあります。しかし、治療の必要性は保険会社ではなく医師が医学的に判断するものです。症状が続く場合は、主治医へ具体的に伝え、治療継続の必要性を確認してください。
また、後遺障害申請を予定している場合は、示談を先に成立させないよう注意します。示談書へ署名する前に、後遺障害の手続が必要か、損害項目が十分に検討されているかを確認してください。
弁護士へ相談するタイミング
症状が数か月続いている、保険会社から治療費打ち切りを打診された、後遺障害申請を検討している、仕事への支障が続いているといった場合は、示談前に相談しておくと対応方針を整理しやすくなります。事故から時間がたっている場合も、初診時からの診療記録を確認することで検討できる場合があります。
よくある質問
脳震盪では画像で明らかな異常がみられないことがあります。診断は受傷状況や症状などを含めて医師が判断します。
症状が続く、または悪化する場合は医療機関へ相談してください。事故後の経過を具体的に記録しておくことも重要です。
期間だけで決まるものではありません。ただし、継続した症状と診療経過が客観的に確認できることは重要です。
通院の空白が事故との因果関係や症状の継続性を検討する際の問題になることがあります。事情を整理し、現在の症状を医師へ正確に伝えてください。
画像の有無だけで治療の必要性が決まるわけではありません。症状が続いている場合は主治医へ相談し、医学的な判断を確認してください。