交通事故Q&A

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  • 車の物損で,事故歴が付いたことで車の価値が下がるのが心配です。相手に請求できませんか。

    評価損という損害が請求できることがあります。

    評価損とは?

    交通事故により,自動車が傷ついた場合には,被害者は,加害者に修理費を請求できます。
    しかし,修理をして,外見はきれいになったように見えても,事故歴によって,中古車としての商品価値が低下することがあります。
    この商品価値の低下を,評価損と言います。

    評価損が認められる場合,認められない場合

    しかし,すべての交通事故で,評価損が認められるわけではありません。
    結論から述べますと,裁判上,評価損は,
    ①骨格部分や走行性能,安全性能にかかわる部分に影響が及んでいる可能性がある場合に発生し,
    ②そうでない場合は,初年度登録からの期間,走行距離,損傷の部位,車種の人気などを念頭に評価損があるかを検討する
    ということになっています。
    評価損は,その車の新しさやプレミアムによって発生するかどうかが変わってくるのです。

    裁判例の傾向

    現状の裁判では,
    ①外車であれば,初年度から5年以上(走行6万キロ程度),
    ②国産車であれば,初年度から3年以上(走行4万キロ程度)
    の自動車には,評価損がつかない傾向があります

    実務感覚では,評価損が発生しているかどうかは,とくに新車にどれだけ近いか,とか,所有することがプレミアムを生む車と言えるかどうか,というところが重視されているように思います。

  • 物損について,相手が支払う修理費は何を根拠に計算されているのですか?

    修理費か,全損の場合には車両時価額が賠償されます。

    まず,物損には「一部損傷」と「全損」の2つの種類があります。

    1 「一部損傷」

    車両が修理可能で,修理費が事故前の車両の価値(※)を下回る場合を言います。このときは必要かつ相当な範囲の修理費は認められます。

    修理費の具体的な金額については,保険会社のアジャスターと呼ばれる担当者が独自に修理費用を査定した上で,保険会社とディーラー,修理工場の3者が話し合って協定することになります。

    2 「全損」

    全損には,修理が不可能な場合(機能的全損)と修理費が事故時の車両の価値(※)を上回ってしまう場合(経済的全損)の2つがあります。

    全損になった場合,事故時の車両の時価(※)が損害額とされます。
    ですので,車両を購入した時の額又は新車を購入するのと同等の額がもらえるわけではありません。

    では,損害額はどうやって計算されているのでしょうか。

    全損の場合,新車であれば減価償却定率法で時価を算出する場合や,事故車両の時価相当額(※)から車両を鉄スクラップとして売却した際の価格を引いて算出する場合など様々です。


    ※車両の価値,時価相当額とは・・・流通価格とは異なり,レッドブックと呼ばれる「自動車価格月報」などを参考に決められます。

    物損価格の交渉のためには,車両の経済的価値を示す客観的資料がとても重要です。
    したがって,物損の交渉をするにおいて,様々な資料を取り寄せたり調査をしたり想像以上に労力がかかることが多くあります。

    適切な金額を受領するためにも,「物損事故だから・・・」と思わずに一度弁護士に相談してみてはいかがでしょうか。

  • 治療には健康保険を利用した方がよいのですか?

    過失が大きい場合や長期療養の場合は健康保険にメリットが発生することがあります。

    1 健康保険利用による治療費の軽減

    事故について,ご自身にも過失がある場合には,健康保険を利用するメリットがあるケースがあります。
    被害者に少しでも過失割合がある場合,治療費についても被害者は負担しなくてはならない部分が発生します。

    したがって,治療費を安くすることで,被害者自身の治療費負担を小さなものにすることができるのです。治療行為は点数制になっていて,総点数×単価=治療費となります。
    健康保険の場合,単価は一律10円です。一方,健康保険を適用しない場合,自由診療となり単価は12円~25円程度となります。
    最低でも治療費は20%以上高くなり,その分だけ過失割合があれば被害者の負担が増えてしまうというわけです。

    2 治療期間の確保について

    交通事故被害者に支払われる賠償金は,加害者が加入する自賠責保険と任意保険の両方から支払われます。
    しかし,まずは自賠責保険から使われていき,限度額(120万円)を超えると任意保険が使われます。
    任意保険会社にしてみれば自賠責保険の範囲で示談できると,自社の手出しがなく済むので,その範囲内で収まることが理想的だと考えます。 そこで,被害者が健康保険を使用すると治療費が節約でき自賠責保険からの支払いを長く続けることができます。
    言い換えると,被害者は長く治療に専念できるようになるわけです。

    この効果は意外と大きく,特に,後遺障害が残るケースでは治療期間は当然長くなり,後遺障害の立証のためには検査費用も時間もかかることから治療期間を長く確保することは大変重要な意味を持ちます。

    3 健保使用のデメリット

    反面,健保治療の場合は,自由診療に比べて,受けられる治療の幅が限定されます。
    しかし,このデメリットは,近年改善されてきており,健康保険使用でも十分な治療を受けられることが多くなってきています。
    健保使用はケガを治すことはもちろん,慰謝料や後遺障害の等級認定にも関わる重要な要因になりえます。健康保険を使用すべきか否かは,弁護士に相談してみましょう。

  • 治療費が打ち切られそうなときはどんな対応をとるべきですか?

    保険会社に,医師を通じて治療の必要性を理解してもらうことが肝要です。

    保険会社からの「治療費打ち切り」

    まず,保険会社はケガの内容・通院頻度・治療内容・事故状況などの観点から,治療の打ち切りを提案してきます。
    例えば,交通事で良くあるケガのうち,打撲は1ヶ月・むちうちは3ヶ月・骨折は6ヶ月が目安と言われています。

    次に,保険会社は診断書に書かれている治療の内容が「漫然治療」になっていると,打ち切りの目安になります。
    漫然治療とは,その治療をすることで症状が良くなるのではなく現状維持するための治療の事を言います。
    例えば,リハビリ内容がマッサージのみだったり,ビタミン剤や湿布のみの処方だったりするケースをいいます。

    「治療費打ち切り」に対する対処法

    では,治療費の打ち切りを提案されてしまった場合,どうすべきなのでしょうか?
    結論としては,ケガが治癒していないこと,治療を継続することで症状の改善が期待できることを保険会社に理解してもらうことです。
    保険会社の担当者と話す際に,自分で伝えてもいいですが,最も重視されるのは主治医の先生の意見です。
    保険会社担当者には,主治医の先生を通じて,少しずつだが症状は改善されていることを認識してもらうことが肝要です。

    診断書の記録や,主治医の先生の意見をうかがって治療の継続交渉を行うのもの弁護士の仕事です。(>>医師面談とはなんですか?

    もし保険会社との話合いがうまくいかない場合は,早めに弁護士に相談する事をおすすめします。

  • 後遺障害等級申請は保険会社に任す場合と弁護士に頼む場合で違いがありますか?

    保険会社に依頼した場合,必要な資料が送付されるとは限らないことがあります。

    被害者請求には仮渡金,傷害,後遺障害,死亡と4部門あります。
    そのなかでも,後遺障害部分において,被害者自身(または被害者の依頼を受けた弁護士)が請求するのと保険会社が請求するのとでは,結果に違いが生じます。

    後遺障害の等級の認定には必要書類を自賠責保険会社に提出すれば受付され,等級の判定がされます。
    ここで重要になるのが,必要書類以外も添付書類として提出できるということです。
    つまりは,被害者にとって,有利になる書類も不利になる書類も一緒に提出できてしまうということです。 保険会社が等級申請の書類を作成し申請すると何の書類を提出されたか被害者はわかりません。
    したがって,必要書類以外に,被害者に有利な書面があったとしても提出がされていないかもしれません。
    もしかしたら等級認定に不利になるような書類(任意保険会社顧問医からの意見書など)が添付されているかもしれません。

    そう考えた場合,自身で後遺障害申請をしたほうが安心ですし,有利になる書類(主治医からの意見書など)をつけることもできます。
    (ただし,被害者請求を自分でするとなると,書類の取寄せや作成等非常に手間がかかるというデメリットはあります。)

    後遺障害の等級がつくのとつかないのとでは,損害賠償額が大きく変わってきます。
    後遺障害が残存しそうな場合には,保険会社に一任するのではなく一度弁護士に相談しアドバイスをもらったほうが,正当な等級認定に繋がります。

  • 過失割合はどうやって決めるのですか?

    事故の状況によって決定し,事故の状況は警察の記録をもとに決定します。

    1 過失割合とは

    交通事故では,自損事故でない場合は,被害者と加害者がいます。

    事故の中には,大きく分けると以下の二つのパターンがあります。

    (1) 被害者に不注意が全くない場合(例:「赤信号で停車していたら,後ろから追突された」)
    (2) 被害者にも加害者にも不注意がある場合(例:「交差点で出会い頭にぶつかった」)

    (2)の場合には,被害者・加害者との間で,「どちらがどれだけ悪いのか」を決めなければなりません。
    これを「過失割合」とよび,どの程度不注意であったかを,「被害者2割:加害者8割」などの割合で決めるのです。

    2 過失割合は「事故状況」で決まる

    保険会社や弁護士や裁判所は,過失割合を,
    「民事交通訴訟における過失相殺率の認定基準」という本
    (通称「過失本」と言います。)で決定します。
    この本は,いろいろな類型の交通事故をまとめた本です。
    そして,それぞれの類型の事故が,過去の裁判で,どのような
    過失割合と決められてきたかをまとめたものなのです。

    この「過失割合」は,原則として,「事故状況」で決めます。
    「事故状況」とは,
    「事故をした当事者(車か歩行者か)」
    「事故をしたのは交差点なのか一本道なのか」
    「信号機はあるのか,何色だったか」
    などから決定します。

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    このように書くと,事故状況を決めるのは,それほど難しい作業でないように思われます。
    しかし,実は,過失本から事故状況を決めるのは,道路交通法の知識を前提にしているため,弁護士の間でも見解が分かれることがあるのです。

    3 事故状況を証明するのは,警察が作成する「実況見分調書」が有力

    しかし,事故状況を決めようと思っても,被害者と加害者で言い分が異なることもあります。
    例えば,被害者は「信号は赤だった」と記憶しているのに,加害者が「信号が青だった」と言う場合です。

    そのように,事故状況に食い違いがある場合には,警察の作成した「実況見分調書」が,最も有力な証拠になります。
    「実況見分調書」とは,警察が作成する事故の状況を図示した見取り図のことで,事故のあと,当事者立会いのもと作成されます。

    ですから,たとえば加害者や保険会社から「この事故の過失割合は8:2ですね」と言われたとしても,実況見分調書を実際に見てみると,その過失割合が間違っていることがあります。

    4 「実況見分調書」以外の証拠

    しかし,全ての事故で実況見分調書が作成されるわけではありません。
    そのような場合には,ドライブレコーダーや,お店などに設置してある防犯カメラの映像が証拠になることがあります。
    万が一の事故のため,ドライブレコーダーを装着しておくことは,自衛にも有効だということです。

    以上のように,過失割合の決定は,実況見分調書の取り寄せや,過失本に基づく事故状況の決定作業が必要になることがあります。
    保険会社や加害者に言われた過失割合が納得いかない場合には,まず弁護士に相談してみましょう。

  • 物損に対して慰謝料を請求することはできますか?

    原則,請求できませんが「壊れた物」によって請求できることもあります。

    1 物損に対する慰謝料の考え方の基本

    結論からいうと,法律は,原則として,「物損」に対しては慰謝料は発生しないという考え方をします。
    物損とは,交通事故で,壊れたり傷ついてしまった車両,積荷の損害のことです。
    そのほかにも,交通事故で車がはじかれたために,近隣の家の塀が壊された場合の損害も含むことがあります。

    この「物損」については,法律は,基本的に,「財産的価値の減少」と捉えます。
    したがって,物損の慰謝料とは,「財産的価値が減少したことに対する慰謝料」となるわけです。
    そして法的には,「財産的価値が減少した」→「財産的価値が賠償金によって支払われた」→「財産的価値が減少したことに対する精神的負担も慰謝された」と考えるのです。

    このような理解から,物損についての慰謝料は,原則として発生しないものと考えられています。

    2 物損に対する慰謝料が発生する場合

    しかし,裁判では,物損に対する慰謝料が全く発生しないわけではありません。
    裁判例では,不動産(家屋など)に対する損害については,ものが壊れたことに対する慰謝料を認めるものがあります。
    また,物損の中でもペット(ペットは法律上財産として扱われます。)は,完全にモノと同視されるものではなく,ペットが死亡した場合や,重傷を受けたり後遺症が残った場合には,ペットが傷ついたことによる慰謝料を認めた裁判例もあります。

    ただし,上記のような裁判例があるとはいえ,保険会社と被害者本人とが交渉して,物損に対する慰謝料を支払わせるのは困難です。
    疑問をお持ちになったときは,まずは弁護士に相談してみましょう。

  • 弁護士費用特約とはどのようなものですか?

    弁護士・裁判費用が支払われ,適用範囲も広いので覚えておきましょう

    1 弁護士費用特約でまかなえる費用

    弁護士費用特約(通称,「弁特」と言います。)は,自動車の対人賠償保険のオプションとしてつけられる保険で,交通事故があったときに,弁護士に依頼する費用,裁判を起こす費用が支払われる保険です。

    ひとくちに弁護士費用,裁判費用と言ってもいろいろありますが,弁護士費用特約では,以下のようなものまでカバーしています。

    ○弁護士に依頼する費用(着手金・報酬金)
    ○弁護士に事件を解決してもらうまでに発生する実費(相手とのやりとりに使用した郵便代など)
    裁判を起こすために手数料(裁判所に収める費用です。印紙代と呼ばれます。)
    ○相手の財産に仮差押えをする必要があるときは,その担保金
    交渉や裁判で利用するための医療調査費用(医師面談料,文書料,画像撮影費用)
    事故状況の調査のための費用

    以上のように,弁護士費用特約は,弁護士に依頼しやすくなるだけでなく,証拠の収集方法に幅を持たせることができるのです。

    2 弁護士費用特約が使える人

    とくに覚えておくとよいのが,弁護士費用特約が使える人の範囲です。
    多くの弁護士費用特約は,加入者本人以外にも,以下のような人たちも利用できます。
    1 加入者の配偶者
    2 加入者と同居している親族
    3 加入者の配偶者と同居している親族
    4 加入者の別居の未婚の子
    5 加入者の配偶者の別居の未婚の子
    6 弁護士費用特約がかけられている自動車の搭乗者

    この範囲は,意外に広いです。
    「自分は弁護士費用特約に入っていない」と言う人でも,配偶者や同居の両親,同乗者が弁護士費用特約に加入していれば,弁護士費用特約を使える可能性があります。

    弁護士費用特約は,交通事故が起こった際のために加入しておく方が良いですが,加入していない人でも,親族や同乗者に自分に適用になる保険がないか,しらべてみるとよいでしょう。

  • 医師面談とはなんですか?

    弁護士が医師に直接会い,治療状況や後遺症の資料を集めることです。

    交通事故事案を弁護士に依頼した場合,弁護士が,被害者の主治医の方に会いに行くことがあります。

    1 医師面談の目的

    面談の目的は様々ですが,以下のようなものです。

    ①被害者のけがの状況を確認する。

    ②被害者の後遺症を裏付ける医証(医学的な証拠)を手に入れる。

    2 医師面談の必要性

    (1) けがの状況の確認

    保険会社との間では,しばしば,治療の終期や働ける状況かどうかといった点で意見が食い違います。

    被害者としては,まだ治療したい,働ける状況にない,と思っていても,保険会社が治療は十分である,すでに就労可能であるとして,治療費や休業損害の打ち切りを提案してくることがあるのです。

     

    そのような場合,もっとも重要視されるのは医師の見解です。

    弁護士は,主治医に治療の見込みを確認し,あるいは証明してもらって,適切な治療が継続できるようにするのです。

    もっとも,医師の見解としても,治療が十分であると言う場合には,治療の延長は難しくなります。

    (2) 後遺症を裏付ける医証

    後遺障害の等級は,自賠責の機関(損害保険料率算出機構)が判断します。

    しかし,この機関は基本的に書面と画像(レントゲンやMRIのこと)審査しか行いません。

    ですので,まったく同じ症状の人でも,きちんと症状が診断書等に書かれている人と,そうでない人では,等級がついたり,つかなかったりすることがあり得ます。

    医師は,治療のプロですが,自賠責保険や等級という制度のことを知っているわけではないので,仕方のないことなのです。

    したがって,後遺症が残存した場合には,自賠責の機関が判断しやすいよう,ポイントを押さえた書面があることが重要です。

    そして,そのような書面がない場合には,医師面談によって,被害者の症状や治療経過を確認し,証明してもらって書面化する必要があるのです。

    医師面談は「適切な治療を継続する」,「適切な等級を得る」ために必要になってきます。

    これらの目的を達するためには,保険の知識はもちろん,後遺障害認定の知識が必要です。

     

  • 交通事故を弁護士に依頼する場合に注意することはありますか?

    費用倒れにならないかを検討するべきです。

    交通事故案件を弁護士に依頼するメリットのもっとも大きいものは,「賠償金額を増額させること」です。

    この点,弁護士が交渉に当たった場合は,ほとんどの場合,保険会社が提案する賠償金から増額することができます。
    (その意味で,交通事故を弁護士に依頼する場合は,「増額できるか」よりも「どのくらい増額できそうか」を検討することになります。)

    しかし,弁護士に依頼した場合,弁護士費用特約保険などの保険がない場合は,弁護士費用が発生してしまいます。

    そのため,「弁護士が介入することで賠償金が10万円アップしたが,弁護士費用に20万円がかかってしまった」という事態が発生することがあります。
    これを「費用倒れ」と呼んでいます。

    そのような場合には,当事務所では,弁護士による処理はせずに,本人による交渉方法のアドバイスをすることとしています

    しかし,通常,「自分の場合,弁護士に頼んだ増額と弁護士費用はどちらが大きいのか」はわからないものです。

    当事務所では,初回相談を無料としていますので,まずは「弁護士費用と増額はどちらが大きくなりそうか」だけでも相談いただければと思います。

  • 交通事故で主婦の休業損害はどう扱われるのですか?

    主婦(主夫)も休業損害は存在し女性平均賃金をもとに算定されることが多いです。

    1 主婦(主夫)にも休業損害はある

    一般に,交通事故でケガをして,仕事が出来なくなって収入が減った場合,減った分を「休業損害」として加害者や加害者の保険会社に請求することができます。
    この点,主婦,とくに専業主婦には,収入がありませんから,「休業損害」は発生しないかに見えます。

    しかし,家で,家事をしている人でも,「誰か(家族など)のために家事をしている人」には,実は休業損害が発生するのです。
    家事労働も,人に頼めば費用が発生するのと同様に,「主婦が家事をしていることで家事労働分の支出を免れている」のだから,主婦の家事労働も経済的なプラスのある労働と考えることができるのです。

    2 主婦の休業損害額の計算方法

    では,主婦の休業損害は,いったいいくらくらいになるのでしょう?
    結論から言うと,弁護士や裁判実務では,「女性平均賃金」(女性の平均年収を365日で割ったもの)を用いて算定しています。この金額は,事故の発生した年度にもよりますが,日額9000円強くらいです。
    ※この点,兼業主婦は,「女性平均賃金」と「実際の収入」を比べて高い方を基準に算定します。)

    しかし,注意が必要なのは,保険会社は,この基準を用いるとは限らない点です。
    たとえば,自賠責の支払い基準においては,主婦の休業損害は,原則として日額5700円で算定されます。
    したがって,保険会社が提案してくる主婦の休業損害額は,ちゃんと計算式をチェックする必要があります。

    3 主婦の休業損害の証明は難しい

    では,日額はわかったとして,何日を掛けるのでしょうか?

    これは,実はとても難しい問題があります。
    たとえば,主婦が交通事故でけがをして,合計10日通院したとします。
    しかし,その主婦は,通院日に全く家事をしないということはありません。通常は,病院から帰って食事の支度をしたり,掃除をしたりすることが多いです。
    また,病院に行っていない日は完全に家事ができるでしょうか?ケガの痛みなどのため,十分な家事ができないこともあるはずです。(もっとも入院の場合は,全く家事ができませんから入院日数を掛けて計算します)。

    主婦の休業の算定,すなわち,「主婦がけがによってどれくらい家事が出来なくなったか」は測ることが難しいし,その証明も困難なのです。
    したがって,主婦の休業損害の算定は,推測・概算に頼らざるを得ず,被害者だけでなく保険会社も苦慮することがあります。算定に疑問を持った場合には,いちど弁護士の意見をうかがうことが良いでしょう。

    4 主夫の場合の問題点

    以上の理論は,男性の主夫の場合でも当てはまります。
    しかし,保険実務をみると,保険会社が男性被害者を家事労働者(主夫)と認めて,積極的に休業損害を支払うということは,まだまだ少ないケースです。
    これは,主夫と言う生活様式が,定着していない頃の名残があるためと思われます。
    なので,家族のために家事をする主夫が,単なる「無職」であると扱われるケースもあります。
    交通事故にあった主夫の方で,休業損害の算定を受けていない方は,一度,弁護士に意見をうかがってみましょう。

  • 交通事故では兼業主婦の休業損害はどう扱われるのですか?

    兼業の収入と女性平均賃金を比較して高額な方を基準に算定することが多いです。

    1 主婦の休業損害

    収入を得ていない専業主婦(=家族のために家事をしている人)にも,「休業損害」が発生して,それは女性平均賃金をもとに計算するのが原則です(クリックで別ページQ&A)。
    では,家事もしているし,仕事もしているという「兼業主婦」の休業損害はどうやって計算するのでしょうか。

    結論から言うと,「兼業による収入」と「家事労働の評価=女性平均賃金分」を比較して,高い方を兼業主婦の日額収入と考えるのが裁判実務です。

    家事と労働を行っているのだから,「家事労働と兼業による収入を合計した金額」を日額にするという考えもありましたが,少数説です。
    兼業をしている以上,家事も専業主婦と全く同様にはできないはずであるとの考え方から,「どちらか高い方」を採用する考え方が主流です。

    2 兼業主婦の休業損害の現状

    上記した,女性平均賃金とは,例えば平成26年では,年額364万円程度です。
    兼業主婦の多くはパート・アルバイトですから,年額364万円の収入を得る兼業主婦は圧倒的少数です。
    したがって,兼業主婦の休業損害は,女性平均賃金=年額350万円をもとに算定されることが多数となります。
    しかし,保険会社の中には,「兼業主婦の休業損害は兼業と家事分の,高い方を採用する」ということを教えてくれないこともあります。
    ですから,保険会社は,兼業主婦の休業損害を,実際の収入をもとに,低い金額で提示してくることがあるのです。

    したがって,保険会社の休業損害の算定は,計算式をよく確認する必要があります。
    自分の休業損害の算定に疑問を持った方は,弁護士に相談してみましょう。


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