交通事故による下腿骨折(脛骨・腓骨骨折)の後遺障害と賠償

下腿には体重を支える脛骨と、その外側にある腓骨があります。歩行者や自転車利用者が車両と接触した場合、バイク事故で脚を挟まれた場合などに骨折することがあります。開放骨折や粉砕骨折では治療が長期化し、感染、偽関節、変形癒合などが問題になることがあります。

このページの要点

  • 骨折形態、開放骨折の有無、手術内容を画像・診療録で確認します。
  • 変形癒合、脚長差、偽関節、疼痛、しびれを確認します。
  • 遠位部の骨折では足関節可動域や不安定性にも注意します。
  • 手術痕が大きく残る場合には醜状障害が問題になる場合があります。

骨癒合と後遺症

X線等で骨癒合を追跡し、必要に応じCT等で評価します。変形や短縮が残っていないか、痛みの原因となる所見があるかを確認します。骨折周囲の神経・軟部組織損傷によりしびれや知覚異常が残る場合もあります。

仕事への影響

立位、長距離歩行、運転、荷物運搬が難しくなることがあります。事故前は現場勤務だったが事故後は内勤へ変わった、勤務時間が短くなった、杖・装具を使用しているといった事情を記録します。

よくある質問

変形の程度を画像で確認し、歩行や足関節への影響と合わせて検討します。

位置・大きさにより醜状障害が問題になる場合があります。

神経損傷や知覚所見を確認します。

偽関節等の治療中であれば症状固定時期を慎重に判断します。

開放骨折・粉砕骨折では治療経過を詳しく残す

脛骨は皮膚に近いため、強い交通事故では皮膚を破る開放骨折となることがあります。感染予防、創部処置、複数回の手術、骨移植など長期治療が必要になる場合があります。治療日数だけでは負担を把握できないため、手術回数、入院・転院、感染の有無、荷重開始時期を時系列で整理します。

偽関節・変形癒合

骨癒合が進まない偽関節や、骨が曲がった状態で癒合する変形癒合が生じる場合があります。事故直後と症状固定時のX線・CTを比較し、再手術の予定、脚長差、歩行への影響を確認します。偽関節の治療中に保険会社から症状固定を提案された場合は、主治医の治療計画を確認します。

脚長差・アライメント

脛骨が短縮・変形すると、左右の脚長差や下肢アライメントの変化が生じ、歩行時のバランスや膝・足関節へ負担がかかる場合があります。本人の感覚だけでなく、医療機関での測定値、画像、歩行評価を確認します。

神経・血管・軟部組織の損傷

強い外力では骨だけでなく周囲の神経・血管・筋肉を損傷することがあります。足のしびれ、知覚低下、筋力低下、冷感などが残る場合には、骨折後の疼痛と区別して記録します。診察所見や必要な検査を確認します。

足関節への波及

遠位部骨折や腓骨骨折では足関節の安定性・可動域へ影響する場合があります。骨折部だけの画像を見て終わらず、足首の動き、荷重時痛、装具の使用を確認します。

手術痕・皮膚障害

開放骨折や複数回手術では大きな傷痕が残ることがあります。傷痕の位置・大きさを写真・診療記録で残し、露出面の醜状に該当する可能性がないか確認します。瘢痕拘縮が関節運動へ影響している場合は機能障害としても整理します。

仕事復帰と休業損害

現場作業、運送、営業などでは長距離歩行や立位が必要です。松葉杖から杖、独歩へ移行した時期、荷重制限、医師の就業許可を確認し、実際の復職時期と合わせます。自営業者では代替人員や売上への影響も資料化します。

示談前に確認すること

骨癒合、変形、脚長差、神経症状、足関節機能、傷痕がすべて評価されているか確認します。複数の障害が残る場合は、一つの「下腿骨折」にまとめず個別の後遺障害を検討します。

骨折の高さと関節への影響

脛骨・腓骨骨折は、骨幹部か、膝・足関節に近い部位かで後遺症が異なります。近位部では膝、遠位部では足関節へ骨折が及んでいないかを画像で確認します。骨幹部だけの骨折でも変形・短縮が残れば歩行へ影響する場合があります。

開放骨折の創部管理

開放骨折では骨だけでなく皮膚・筋肉等も損傷しているため、感染予防、創部処置、皮膚移植等が必要になることがあります。手術回数、感染の有無、創部が安定するまでの期間を整理します。大きな瘢痕が残る場合は外貌・皮膚の評価も確認します。

偽関節・骨癒合遅延

骨が十分につかない場合、追加固定や骨移植等が必要になることがあります。骨癒合が完成していないのに症状固定を急ぐことがないよう、主治医の治療計画を確認します。保険会社の支払終了と医学的治療終了は区別します。

変形・短縮と歩行

角状変形や短縮が残る場合、脚長差、歩容、膝・足関節への負担を確認します。医療機関の測定値、画像、インソール等の使用を整理し、本人の感覚だけで判断しません。

神経・血管症状

しびれ、知覚低下、筋力低下、足の冷感等がある場合、骨折後の痛みとは別に神経・血管への影響を確認します。必要に応じた検査結果や専門医の記録を整理します。

長期休業と復職過程

免荷期間が長いと仕事復帰に時間がかかります。松葉杖、部分荷重、全荷重、独歩となった時期と、医師の就業許可を確認します。完全休業から軽作業、通常勤務へ戻る過程を資料化します。

自営業・現場職

自営業者では、本人が現場に出られず代替人員を雇った、受注を断った等の影響が出る場合があります。売上だけでなく代替費用、作業割合を事故前後で比較します。

示談前の確認

骨癒合、変形、脚長差、神経症状、足関節機能、瘢痕、休業・復職を一度に点検し、後遺障害診断書から重要な症状が抜けていないか確認します。

足関節・膝関節への二次的な負担

下腿の変形や筋力低下があると、歩行時に膝・足関節へ負担がかかる場合があります。新たな痛みが出た場合は自己判断で骨折後遺症とせず、医療機関で評価を受けます。主治医が関連を認める場合は診療記録へ残します。

症状固定後の装具

補高、インソール、サポーター等を継続使用する場合、医師の指示、費用、交換見込みを確認します。将来費用は具体的な必要性に基づいて整理します。

症状固定時の全体評価

下腿骨折では、骨癒合だけでなく、変形・脚長差、膝・足関節機能、神経症状、瘢痕を確認します。開放骨折や複数回手術では傷病が多岐にわたるため、後遺障害診断書に一部しか記載されていないことがないか点検します。

歩行と就労の記録

独歩できても、長距離、坂道、不整地、階段で痛み・疲労が出る場合があります。現場職、営業、配送等では一日の歩行量と作業制限を事故前後で比較します。杖・インソール等の使用も記録します。

追加手術・抜釘

固定材料の抜去、偽関節治療等が予定されている場合、治療完了前に示談を急がず、主治医の具体的治療計画と症状固定時期を確認します。

相談時の資料整理

下腿骨折では、事故直後と症状固定時の画像、手術記録、荷重開始時期、脚長差、神経症状、足関節機能、傷痕をまとめます。開放骨折では創部治療の経過も含め、骨だけでなく下肢全体の障害を確認します。

相談時に確認する実務資料

下腿骨折では、骨癒合、変形、脚長差、神経症状、足関節機能、手術痕、荷重開始時期を一覧化します。開放骨折や複数回手術では、創部治療と骨の治療を分けて整理し、後遺障害診断書への記載漏れを防ぎます。

最終確認では、歩行能力と就労制限の双方を確認します。

監修:日本交通法学会正会員 倉橋芳英弁護士

最終更新日:

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