【解決事例/055】頚椎捻挫、腰椎捻挫で併合11級が認定された被害者につき、保険会社の素因減額の主張を退けて示談で解決ができたケース

併合11級,痺れ,頚椎捻挫・外傷性頚部症候群

依頼者属性 性別 男性
年代 40代
職業 会社員
事故態様と相談 事故場所 大分市
事故状況 道路の端を歩行中、後ろからきた車にはねれらた。
相談のタイミング 後遺障害認定後
相談のきっかけ 賠償金の示談交渉などを弁護士に依頼したい。
怪我と後遺障害 傷病名 頚椎捻挫、腰椎捻挫など
自覚症状 頚部痛、頭痛、右上肢手指の痺れと脱力感、腰痛、左下肢の痺れ
後遺障害等級 併合11級(12級13号、12級13号)
保険会社提示額 事前提示 なし(保険会社が金額を提示する以前に弁護士が介入したため)
獲得賠償金額 損害項目 最終受取金額
金額 約1307万円
備考 治療費などを含めた賠償総額約1398万円

獲得賠償金額

損害項目最終受取金額

金額約1307万円

備考治療費などを含めた賠償総額約1398万円

 

相談から解決までの流れ

 道路の端を歩行中に後ろからきた自動車にはねられ、頚椎捻挫、腰椎捻挫などの怪我を負ったケースです。後遺障害認定後、賠償金の示談交渉を弁護士に依頼したいということで相談にお越しになり、受任に至りました。

 相談前の自賠責保険の認定では、頚部痛、頭痛、右上肢手指のシビレ、知覚鈍麻などの症状について、「局部に頑固な神経症状を残すもの」として12級13号の後遺障害が認定され、腰痛、左下肢のシビレ、知覚鈍麻等の症状について、「局部に頑固な神経症状を残すもの」として12級13号の後遺障害が認定され、2つの認定を合わせて併合11級の後遺障害が認定されていました。

 受任後は、保険会社と賠償金の示談交渉を行いました。この交渉の中で、保険会社は、治療中に通院した医療機関が作成した診断書に既往症として腰痛の記載があることを理由に素因減額の主張をしてきました。そこで、その医療機関のカルテを取り寄せて確認したとこと、カルテには既往症として腰痛の記載は一切ありませんでした。その後、その医療機関の主治医に、診断書の既往症の記載について照会をしたところ、診断書の既往症の記載は誤記であることが判明しました。医師への確認後、保険会社にカルテを送付し、素因減額について交渉をした結果、保険会社は、既往症の主張を撤回し、最終的に、裁判所基準をベースとした適正な金額で示談をすることができました。

 

担当弁護士の振返りポイント

 頚部と腰部に12級13号が認定され、合わせて併合11級が認定されていたケースでした。示談交渉に際しては、既往症による素因減額の有無が争いになりました。
 
 「既往症」とは、被害者が事故前に罹患していた傷病のことをいいます。「素因」とは、被害者が事故前から有していた心的要因及び身体的要因をいいます。そして、「既往症による素因減額」とは、簡単にいうと、被害者が事故前から罹患していた傷病による症状の分だけ賠償金額を減額させるというものです。
 
 本件では、保険会社の指摘するとおり、診断書に既往症の記載がありました。しかし、依頼者に確認をしたところ、診断書に記載されているような既往症はないということでしたので、医療機関からカルテを取り寄せてカルテの記載を確認したところ、他の既往症については記載されているにもかかわらず、保険会社が主張する既往症については一切記載がありませんでした。そこで、主治医に、診断書の既往症の記載の趣旨を確認したところ、診断書の記載が誤記であることが判明しました。保険会社には、カルテを送付するとともに、診断書の記載が誤記であることを説明した結果、素因減額の主張は撤回されました。素因減額がなされた場合、賠償金額が大きく減額されるケースでしたので、この点が、適正な賠償金を得るにあたって、大きなポイントとなりました。

 本件のように、診断書の記載に疑問がある場合には、カルテなどの医療記録を取り寄せたうえで、医師から直接話を聞くことが重要です。交通事故の被害者については、毎月、1か月分の診断書が作成されますが、この診断書は、1か月分を後から作成するため、カルテに比べて医療情報の正確性は劣りますカルテは、医師などの医療従事者が、診察などの際に、その都度作成をするので、情報量が正確ですし、情報量も豊富で、医学的なことが争点となった場合には、最も信頼性の高い証拠といえます
 本件に限らず、「カルテなどの医療記録の精査」「医師面談」が、医学的争点がある場合には、重要なポイントとなります。
 


交通事故に遭われた方、ご家族を亡くされた方へ