交通事故による硬膜外血腫の後遺障害と賠償

硬膜外血腫は、頭蓋骨と脳を覆う硬膜の間に出血し、血液がたまる傷病です。交通事故で頭部へ強い衝撃を受けた際に生じることがあり、事故直後は会話できていても、その後に意識状態が悪化する場合があります。急性期には迅速な診断と治療が必要となる一方、救命・手術後も麻痺、頭痛、てんかん、認知機能の低下などが残ることがあります。後遺障害認定では、血腫があった事実だけでなく、治療後にどのような症状が残り、生活や仕事へどう影響しているかを確認することが重要です。

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  1. 急性期には頭部CTで血腫の位置・大きさ、頭蓋骨骨折、脳の圧迫などを確認します。
  2. 手術後も意識障害、麻痺、けいれん、頭痛、認知機能の変化がないか継続して確認します。
  3. 後遺障害等級は手術の有無や血腫の大きさだけでなく、最終的な神経症状・生活上の支障で検討されます。

硬膜外血腫でみられる症状

硬膜外血腫では、強い頭痛、吐き気、意識障害、片側の麻痺、けいれんなどがみられることがあります。事故直後には比較的意識が清明でも、時間の経過とともに状態が悪化することがあるため、頭部外傷後の変化には注意が必要です。血腫によって脳が圧迫されると、意識レベルの低下や瞳孔の異常などが現れることもあります。

症状の程度は一様ではありません。早期に治療され、ほとんど後遺症なく回復する場合がある一方、脳挫傷などを併発している場合には、手術後も麻痺や高次脳機能障害が残ることがあります。退院時には歩行や会話が可能でも、家庭や職場で記憶・注意力の低下、疲れやすさ、仕事の処理能力低下などが分かるケースもあります。

必要な検査・医療記録

急性期では頭部CTが重要です。血腫の位置・大きさ、脳の圧迫、頭蓋骨骨折の有無などを確認します。必要に応じてMRIが行われ、脳実質の損傷やその後の変化を評価することがあります。後遺障害申請を考える場合は、初診時の画像だけでなく、その後の画像、救急搬送時の記録、意識レベル、瞳孔所見、麻痺の有無、手術記録、入院中の経過を一連の資料として確認します。

退院後に頭痛、めまい、麻痺、けいれん、物忘れなどが残っている場合は、その症状を受診のたびに医師へ具体的に伝えてください。高次脳機能障害が疑われる場合には、神経心理学的検査や家族から見た生活状況の記録などが重要になります。

後遺障害認定で確認するポイント

硬膜外血腫という診断名だけで後遺障害等級が決まるわけではありません。治療後に麻痺、高次脳機能障害、てんかん、頭痛などが残った場合に、その内容と程度に応じて神経系統の後遺障害を検討します。重い神経・精神機能障害がある場合には上位等級が問題となり、局部の神経症状として12級13号や14級9号が問題になる場合もあります。

「開頭手術を受けたから高い等級になる」「血腫が大きかったから等級が付く」という関係ではありません。自賠責の後遺障害認定では、症状がどの程度残っているか、医学的所見で裏付けられているか、事故後から症状固定まで一貫しているかなどが重要です。退院後に認知機能の問題が出た場合は、脳挫傷等の併発損傷も含めて資料を確認します。

高次脳機能障害が疑われる場合

硬膜外血腫に脳挫傷などを伴った場合、身体的には回復していても、物忘れ、注意力低下、段取りの悪化、感情の変化が残ることがあります。本人は「以前と同じ」と感じていても、家族や職場が違和感を覚える場合があります。事故前後で何が変わったのか、具体的なエピソードを記録し、診察時に伝えることが大切です。

治療と症状固定

血腫除去術などの治療により急性期の危険を脱しても、それで治療がすべて終わるとは限りません。麻痺や認知機能障害が残る場合はリハビリテーションが行われることがあります。症状固定の時期は、血腫が消失した時点ではなく、残った機能障害について治療・リハビリを続けても大きな改善が見込みにくい状態かどうかを主治医が判断します。

保険会社から治療費の打ち切りを打診された場合は、今後も治療やリハビリが必要か、改善の可能性があるかを主治医へ確認してください。自己判断で通院を中断すると、症状の継続性を説明する資料が乏しくなる場合があります。

賠償で確認する項目

急性期の入院や手術が必要だった場合は、治療費、入通院慰謝料、休業損害、付添費などを確認します。後遺障害が残った場合には、後遺障害慰謝料と逸失利益が重要になります。重い神経障害で介護を要する場合は、将来介護費、介護用品、住宅改造費などを検討することもあります。

仕事への影響では、休業期間だけでなく、復職後に職務内容が変わった、勤務時間が短くなった、収入が下がったなどの事情も確認します。高次脳機能障害がある場合は、周囲の援助がなければ仕事を継続できないという事情も具体的に整理します。

保険会社対応で注意したいこと

保険会社から示談案が届いた場合、入通院慰謝料だけでなく、後遺障害に関する損害が適切に評価されているか確認してください。後遺障害認定前に示談を急ぐと、後から残った症状を十分に反映できない場合があります。また、等級認定後も逸失利益の期間や労働能力喪失率などで争いが生じることがあります。

弁護士へ相談するタイミング

手術を受けた、長期間入院した、退院後も麻痺や頭痛が残る、高次脳機能障害が疑われる、治療費打ち切りを打診されているといった場合は、示談前に資料を確認することが重要です。後遺障害申請前の段階で相談しておくと、必要な画像や診療記録、生活状況の資料を整理しやすくなります。

よくある質問

手術の有無だけでは等級は決まりません。治療後に残った神経症状や認知機能障害の程度が重要です。

はい。継続する頭痛、めまい、疲労などは受診時に医師へ伝え、診療録に残るようにしてください。

脳挫傷など脳実質の損傷を伴う場合には、記憶・注意・行動面の障害が残ることがあります。事故前後の変化を確認します。

血腫の消失だけで決まるものではありません。治療後に症状が残っている場合は、その内容と医学的な裏付けを確認します。

症状が残っている場合や後遺障害申請を予定している場合は、示談前に今後の手続を確認してください。

監修:日本交通法学会正会員 倉橋芳英弁護士

最終更新日:

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