下肢の後遺障害


下肢の後遺障害の解決事例

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下肢の後遺障害

下肢の損傷による後遺障害

 下肢とは、一般に使う言葉で言う「あし」全体のことをいいます。「あしのつけね」の周辺と、その先の全体をさします。下肢の後遺障害は、主に、骨折、脱臼、神経の損傷に伴って発生します。

 

後遺障害の種類としては、以下の5種類があります。 

①欠損障害
下肢の一定部分を失ったことに関する後遺障害

②機能障害
関節(股関節、膝関節、足関節)の動きが悪くなったことに関する後遺障害

 

③変形障害
下肢の骨折した部分が固まらない又は曲がったまま
固まってしまったことに関する障害

 
④短縮障害
下肢の長さが短くなってしまったことに関する障害
 
⑤醜状障害
下肢の露出面に醜状が残ってしまったことに関する障害

 

 

適切な時期に等級認定を受けることが重要です

 下肢の損傷により後遺障害が残ってしまった場合、通常はリハビリを行い、多くの場合は何らかの改善がみられます。したがって、症状固定の診断を受ける時期を逸して、リハビリによる多少の改善がみられた後に症状固定の診断を受けてしまった場合、本来受けられたはずの等級よりも低い等級を認定されてしまうおそれが大きいのです。

このような不利益を受けないために、受傷後6か月を経過した程度のタイミングで症状固定の診断を受けることが重要です。

 

 

自賠責における後遺障害等級

 下肢の後遺障害に関して、自賠責では、以下のとおり後遺障害等級が規定されています。

 

下肢の欠損障害
等級 後遺障害 自賠責保険金額 労働能力損失率

1級5号
 
両下肢を膝関節以上で失ったもの 3,000万円 100%

2級4号
 
両下肢を足関節以上で失ったもの 2,590万円 100%

4級5号
 
一下肢を膝関節以上で失ったもの 1,889万円  92%
4級7号 両足をリスフラン関節以上で失ったもの
1,889万円
 
 92%

5級5号
 
       一下肢を足関節以上で失ったもの        1,574万円  79%

7級8号
 
一足をリスフラン関節以上で失ったもの 1,051万円  56%

 

下肢の機能障害
等級 後遺障害 自賠責保険金額 労働能力損失率

1級6号
 
両下肢の用を全廃したもの 3,000万円 100%

5級7号
 
一下肢の用を全廃したもの 1,574万円  79%

6級7号
 
一下肢の三大関節中の二関節の用を廃したもの 1,296万円  67%

8級7号
 
一下肢の三大関節中の一関節の用を廃したもの   819万円  45%

10級11号
 
一下肢の三大関節中の一関節の機能に著しい
障害を残すもの
  461万円  27%

12級7号
 
一下肢の三大関節中の1関節の機能に
障害を残すもの
  224万円  14%

 

下肢の変形障害
等級 後遺障害 自賠責保険金額 労働能力損失率

7級10号
 
一下肢に偽関節を残し、著しい変形障害を
残すもの
1,051万円  56%

8級9号
 
一下肢に偽関節を残すもの   819万円  45%

12級8号
 
長関節に変形を残すもの      224万円  14%

 

下肢の短縮障害
等級 後遺障害 自賠責保険金額 労働能力損失率

8級5号
 
一下肢を5センチメートル以上短縮したもの 819万円  45%

10級8号
 
一下肢を3センチメートル以上短縮したもの 461万円  27%
13級8号
一下肢を1センチメートル以上短縮したもの
 
139万円   9%

 

下肢の醜状障害
等級 後遺障害 自賠責保険金額 労働能力損失率

14級5号
 
下肢の露出面にてのひらの大きさの
醜いあとを残すもの
  75万円  5%

 

 

等級認定基準

下肢の後遺障害の等級認定基準は以下のとおりです。

 

等級により賠償金額が大きく変わります。各等級の賠償金額を知りたい方はこちら。

 

欠損障害
後遺障害 認定基準
 下肢をひざ関節以上で
失ったもの
次のいずれかに該当するもの
①股関節において寛骨と大腿骨を離断したもの
 ②股関節とひざ関節との間において離断したもの
 ③ひざ関節において、大腿骨と脛骨および腓骨とを離断したもの
下肢を足関節以上で
失ったもの
次のいずれかに該当するもの
①ひざ関節と足関節との間において切断したもの
②足関節において、脛骨および腓骨と距骨とを離断したもの
リスフラン関節以上で
失ったもの
次に掲げるもの
 ①足根骨において切断したもの
 ②リスフラン関節において中足骨と足根骨を離断したもの
 
機能障害
後遺障害 認定基準
 下肢の用を全廃したもの
次に掲げるもの
①股関節、ひざ関節、足関節の三大関節のすべてが強直
(完全強直または完全強直に近い状態)となったもの
②①の状態にさらに足指の欠損または機能障害が加わっているもの
  関節の用を廃したもの 次に掲げるもの
①関節の完全強直または完全強直に近い状態となったもの
②関節の完全弛緩性麻痺またはこれに近い状態にあるもの
③人口関節または人口骨頭を挿入置換したもので、
その可動域が腱側の2分の1以下に制限されているもの
  関節の機能に著しい
障害を残すもの
次に掲げるもの
①患側の関節可動域が、腱側の2分の1以下に制限されたもの
②人口関節または人口骨頭を挿入置換したもので、その可動域が
腱側の2分の1以下には制限されていないもの
  関節の機能に
障害を残すもの
次に掲げるもの
①患側の関節可動域が腱側の4分の3以下に制限されたもの
②股関節の複数の主要運動のうち、いずれかの運動の可動域が
2分の1または4分の3に制限されているもの
③参考運動は、主要運動の可動域が2分の1または4分の3を
わずかに上回るもの

 

その他の関節機能障害(動揺関節)
後遺障害 認定基準

関節の用を廃したもの
 
常に硬性舗装具を必要とするもの

関節機能に著しい
障害をのこすもの           
時々硬性舗装具を必要とするもの

関節機能に
障害をのこすもの
 
重激な労働等の場合以外に硬性補装具を必要としないもの、
または先天性以外の習慣性脱臼および弾発ひざ
 
欠損障害
後遺障害 認定基準
 下肢をひざ関節以上で
失ったもの
次のいずれかに該当するもの
①股関節において寛骨と大腿骨を離断したもの
 ②股関節とひざ関節との間において離断したもの
 ③ひざ関節において、大腿骨と脛骨および腓骨とを離断したもの
  下肢を足関節以上で
失ったもの
次のいずれかに該当するもの
①ひざ関節と足関節との間において切断したもの
②足関節において、脛骨および腓骨と距骨とを離断したもの
  リスフラン関節以上で
失ったもの
次に掲げるもの
 ①足根骨において切断したもの
 ②リスフラン関節において中足骨と足根骨を離断したもの
 
下肢の変形障害
後遺障害 認定基準
一下肢に偽関節を残し、
著しい運動障害を残すもの
常に硬性補装具を必要とするもので、次に掲げるもの
①大腿骨の骨幹部等にゆ合不全を残すもの
②脛骨及び腓骨の両方の骨幹部等にゆ合不全を残すもの
③脛骨の骨幹部等にゆ合不全を残すもの
 一下肢に偽関節を残すもの 次に掲げるもの
①大腿骨の骨幹部等にゆ合不全を残し、
常に硬性補装具を
必要とするもの以外のもの
 ②脛骨および腓骨の両方の骨幹部等にゆ合不全を残し、
常に硬性補装具を必要とするもの以外のもの
 ③脛骨の骨幹部等にゆ合不全を残し、
常に硬性補装具を必要とするもの以外のもの
  リスフラン関節以上で
失ったもの
次に掲げるもの
①次のいずれかに該当する場合で、外部から見てもわかる程度
 (15度以上屈曲して不正ゆ合したもの)以上のもの
 (ア)大腿骨に変形を残すもの
 (イ)脛骨に変形を残すもの
 (ウ)脛骨のみの変形の程度が著しく、
外部から見てもわかる程度のもの
②大腿骨もしくは脛骨の骨端部にゆ合不全を残すもの
または腓骨の骨幹部等にゆ合不全を残すもの
 ③大腿骨または脛骨の骨端部のほとんどを欠損したもの
④大腿骨または脛骨(骨端部を除く)の直径が3分の2以下に
減少したもの
⑤大腿骨が外旋45度以上または内旋30度以上回旋変形ゆ合
しているもの

 

下肢の短縮障害
後遺障害 認定基準

一下肢を5センチメートル
以上短縮したもの     
患側の下肢長が、腱側と比較して5センチメートル以上短縮したもの

一下肢を3センチメートル
以上短縮したもの
 
患側の下肢長が、腱側と比較して3センチメートル以上短縮したもの

一下肢を1センチメートル
以上短縮したもの
 
患側の下肢長が、腱側と比較して1センチメートル以上
短縮したもの
 
欠損障害
後遺障害 認定基準
 下肢をひざ関節以上で
失ったもの
次のいずれかに該当するもの
①股関節において寛骨と大腿骨を離断したもの
 ②股関節とひざ関節との間において離断したもの
 ③ひざ関節において、大腿骨と脛骨および腓骨とを離断したもの
  下肢を足関節以上で
失ったもの
次のいずれかに該当するもの
①ひざ関節と足関節との間において切断したもの
②足関節において、脛骨および腓骨と距骨とを離断したもの
  リスフラン関節以上で
失ったもの
次に掲げるもの
 ①足根骨において切断したもの
 ②リスフラン関節において中足骨と足根骨を離断したもの