時効の壁を乗り越え、約424万円を獲得!


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顔に傷痕の後遺障害が残った50代男性の交通事故解決事例

交通事故に遭われ、顔に傷が残ってしまった場合、その精神的・肉体的苦痛は計り知れません。特に、顔の傷は人とのコミュニケーションや社会生活において、目に見える形で影響を及ぼし、深い心の傷となることがあります。さらに、交通事故の損害賠償請求には、時効があり、症状固定から3年が過ぎてしまうと、損害賠償を請求できなくなってしまいます。

以下では、まさに「顔の傷」と「時効」という二重の困難に直面しながらも、弁護士の適切なサポートと戦略的なアプローチによって、約424万円もの賠償金を獲得し、新たな一歩を踏み出した50代男性の解決事例をご紹介します。ご自身の状況と似たケースでお悩みの方、セカンドオピニオンをお考えの方にとって、この記事が少しでもお力になれば幸いです。

相談者プロフィール

今回の事例の相談者であるYさんは、50代の男性会社員です。事故によりお顔に傷を負ってしまい、特に人前に出る機会が多いお仕事柄、この傷が原因で仕事や日常生活に大きな影響が出ていることに深く悩んでいらっしゃいました。見た目の変化だけでなく、精神的な苦痛も大きく、日々の生活に不安を抱えていらっしゃったことがうかがえます。顔の傷は、特に精神的なダメージが大きく、Yさんにとってその後の生活の質を左右する深刻な問題でした。

事故の概要

Yさんが被害に遭われた交通事故は、高速道路のパーキングエリアから本線車線に進入しようとした際に発生しました。居眠り運転をしていた大型トラックに追突され、Yさんの車は壁に激突するという甚大な被害を受けました。

この事故により、Yさんは顔に深い傷を負われた他、頚椎捻挫、頭部瘢痕性脱毛、額部醜状瘢痕、耳介側頭神経損傷などの怪我を負いました。特に、顔面に大きな傷を負いました。これらの傷は、Yさんの精神状態に深刻な影響を与え、会社員として人前に出る機会が多いYさんの仕事にも大きな支障をきたす可能性がありました。

相談時の悩み・課題:時効の壁と保険会社からの不十分な提示

Yさんが当事務所にご相談にいらした時、すでに交通事故から8年が経過しており、治療終了後からは約3年が経とうとしている状況でした。Yさんは、損害賠償請求の「消滅時効」が完成し、もう賠償金を受け取ることができないのではないかという、非常に大きな不安を抱えていらっしゃいました。

実は、Yさんは事故後、他の法律事務所に依頼されていました。しかし、治療終了後、3年間も進展がなく、最も重要な後遺障害診断書の作成すら行われていない状況だったのです。このような状況で、Yさんは「このままでは1円も受け取れないのではないか」という強い不安を抱いていました。

弁護士の対応・戦略:時効対策と後遺障害認定への緻密なアプローチ

(1)後遺障害診断書の作成

当事務所がYさんの案件を受任したのは、まさに消滅時効が完成する寸前の極めて危機的なタイミングでした。この状況を乗り越え、Yさんが適正な賠償を受けられるよう、迅速かつ戦略的な対応を開始しました。

まず、最も喫緊の課題であった「消滅時効」の問題に対処するため、すぐにYさんの主治医に面談を申し込みました。この面談では、事故によって残ったお顔の傷痕について詳細に説明し、後遺障害診断書にできる限り正確に、そして詳細に反映してもらうよう依頼しました。Yさんの顔の傷が、後遺障害等級12級14号として正しく評価されるための重要なステップでした。

(2)時効の主張を覆した「事前認定」の周到な戦略

後遺障害診断書を作成してもらった後は、自賠責保険に後遺障害の審査を受ける手続をします。通常、当事務所では、被害者自身が後遺障害の審査を請求する「被害者請求」という方法で後遺障害の審査を受ける手続をします。しかし、本件では、相手方保険会社が手続を行う「事前認定」という方法をあえて選択しました。

この「事前認定」の選択には、明確な戦略がありました。それは、今後、相手方保険会社が「消滅時効」を主張してくることを予想し、そうなった場合に「債務の承認があるので消滅時効期間は完成していない」という反論を行うという狙いに基づいた進め方です。

この戦略を採用した当時、「被害者請求をしただけでは消滅時効はリセットされない」という裁判例は存在しましたが、「事前認定をした」という行為が「債務の承認」にあたるかどうかについて判断した過去の裁判例は存在しませんでした。しかし、多くの文献をリサーチして検討した結果、「事前認定は債務の承認にあたる」と判断される可能性が高いと判断しました。このように、受任当初、相手方保険会社は比較的協力的で、何の問題もなかったにもかかわらず、今後の時効主張を見越してこの戦略を立てたことが、後に大きな勝因となります。

(3)紛争処理センターへの和解あっせんの申立て

この戦略は功を奏し、後遺障害の認定後、保険会社が予想通り消滅時効を主張してきた際、当事務所はこの「事前認定」の事実を強力な根拠として「債務の承認があったため時効は中断している」と反論しました。しかし、示談交渉では、保険会社は消滅時効が完成しているという主張を譲らず交渉が難航しました。そのため、中立的な第三者機関である紛争処理センターに和解あっせんの申し立てを行い、解決を目指しました。

解決結果:約424万円を獲得!

紛争処理センターでの和解あっせん手続では、「事前認定により消滅時効がリセットされてる」と当方の主張が認められ、Yさんは最終的に約424万円もの賠償金を獲得することができました。当初、相手方保険会社が時効を理由に0円を主張していたことを考えると、この結果はYさんにとって大きな安堵をもたらすものでした。

担当弁護士のコメント:諦めずにセカンドオピニオンを!

今回のYさんのケースは、まさに「諦めずにセカンドオピニオンを求めたことで、時効の壁を乗り越え、適正な賠償金を獲得できた」という点で、多くの交通事故被害者の方に希望を与える事例になったと感じています。

解決のポイント

① 依頼者が当事務所にセカンドオピニオンに来たこと

もしYさんが当事務所に相談に来ていなければ、他の弁護士に依頼していたにも関わらず、このまま消滅時効の期間を過ぎてしまい、最終的に1円も受け取ることができなかった可能性が非常に高かったでしょう。時効が迫る中で適切なアドバイスと行動ができたのは、Yさんご自身が行動を起こした結果であり、その勇気ある決断がこの成功に繋がりました。

② 消滅時効の主張を見越して「事前認定」の手続きを採ったこと

受任当初、相手方保険会社は比較的協力的で、対応に何の問題もありませんでした。しかし、今後の交渉で消滅時効を主張してくる可能性も考慮し、念には念を入れて、保険会社が後遺障害の審査を請求する「事前認定」という方法で手続を進めました。この「事前認定をした」という行為が、後に保険会社が時効を主張してきた際に、「債務の承認」となり時効がリセットされる事由であると強く主張するための重要な布石となりました。当時の裁判例はなかったものの、徹底的なリサーチに基づいたこの戦略が、時効の主張を覆す大きな勝因となったのです。

まとめ:顔の傷と時効問題でお悩みの方へ

交通事故で「顔の傷」を負われた方、そして「時効」の問題に直面し、賠償金請求を諦めかけている方は決して少なくありません。Yさんの事例が示すように、一度は解決が難しいと思われたケースでも、専門知識と経験を持った弁護士が適切な戦略を立て、粘り強く交渉することで、光明が見えることがあります。

特に、以下のような状況でお悩みの方は、一人で抱え込まず、できるだけ早く弁護士にセカンドオピニオンを求めることを強くお勧めします。

  • 保険会社からの提示額が適正なのか不安を感じる方
  • 後遺障害が残ってしまったが、どのように等級認定を受ければ良いか分からない方
  • すでに時効期間が迫っている、あるいは過ぎてしまったかもしれないと不安な方
  • 現在依頼している弁護士の対応に疑問や不満を感じている方

お顔の傷は、単なる肉体的な傷だけでなく、精神的な苦痛を伴い、日常生活にも大きな影響を及ぼします。当事務所は、交通事故に関する深い専門知識と豊富な解決実績に基づき、皆様の不安を払拭し、適正な賠償金を獲得できるよう全力でサポートいたします。
どんな些細なことでも構いませんので、どうぞお気軽にご相談ください。あなたの状況に合わせた最適な解決策を、私たちと一緒に見つけましょう。

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