手足の傷痕で後遺障害14級5号認定!


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紛争処理センター活用で逸失利益と約475万円を獲得した30代女性の事例

交通事故によって手足の傷痕が残り、後遺障害の不安を抱える方は少なくありません。特に露出面の醜状痕は、仕事や日常生活、精神面にも大きな影響を与えることがあります。本記事では、青信号で横断歩道を歩行中に右折車にはねられ、手足の傷痕に後遺障害が残ってしまった30代女性の事例をご紹介します。

保険会社からは逸失利益が否定されたものの、当事務所が紛争処理センターでの和解あっせん手続きを通じて、粘り強く交渉した結果、約475万円の賠償金を獲得し、手足の傷痕における逸失利益も認められました。ご自身の状況と照らし合わせ、適切な補償を得るためのヒントと、専門家へ相談する重要性について、ぜひご覧ください。

交通事故で残った「手足の傷」は後遺障害になる?

Xさんのプロフィール:30代女性会社員(美容師)・既婚

Xさんは30代の会社員で、ご主人と二人暮らしでした。美容師として働く中で、お客様の髪をカットしたりシャンプーをしたりする業務は、手腕を頻繁に使うため、事故で負った手足の傷が今後の仕事に影響しないか大きな不安を抱えていました。

また、事故前は家事や育児もこなしていましたが、これらの日常的な活動にも支障が出る可能性を心配されていました。露出面に残る傷跡については、日常生活での服装にも影響があり、精神的な苦痛も伴うことから、早期解決を望んでいらっしゃいました。

青信号横断中に右折車にはねられた事故の概要

Xさんは青信号で横断歩道を歩行中、右折してきた自動車に気づかれずにはね飛ばされるという交通事故に遭いました。
この事故により、Xさんは右尺骨骨幹部骨折、左鎖骨遠位端骨折、大腿熱傷、全身の擦過傷といった重傷を負いました。特に、左大腿部、左肘部、右脛部、腰部には広範囲にわたる醜状痕(傷跡)が残存することになりました。

保険会社への不信感と仕事・家事への影響|ご相談時の悩み

ご相談時、Xさんは交通事故で負った手足の傷が原因で仕事への復帰が困難になり、生活に支障が出ていることに大きな不安を感じていました。特に、美容師という職業柄、お客様にシャンプーやカットをする際に腕を上げたり曲げたりする動作が痛みを伴うため、仕事が以前のようにこなせなくなることへの心配は深刻でした。

また、手足の傷痕が露出面に残り、夏場でも長袖で過ごさなければならないなど、精神的な苦痛も大きく、人からの視線に不安を感じていました。子供と遊んだり、プールや海に行ったりすることも、傷痕が気になるためにできない状況でした。

整形外科に通院する時間が取れず整骨院での治療について悩んでおり、この治療が賠償にどう影響するか、また保険会社との交渉がどのように進むのか、後遺障害等級が認定されるのかといった点にも大きな不安を抱えていました。これらの悩みを解決し、適切な賠償金を得るために、当事務所にご相談いただきました。

弁護士が「手足の傷の後遺障害」に徹底対応!紛争処理センターで逸失利益獲得へ

症状固定後、弁護士による被害者請求で後遺障害14級5号を獲得

Xさんのご依頼を受け、当事務所の弁護士は、まずXさんの症状固定後、手足の傷痕を含む後遺障害の適切な認定を目指し、「被害者請求」による申請手続を行いました。被害者請求とは、被害者側が自ら必要書類を揃えて保険会社に提出し、後遺障害等級の認定を求める方法です。

この手続では、医学的な根拠となる医証の収集と、主治医との綿密な連携を重ね、特に手足の傷痕の状態や日常生活・仕事への影響を正確に診断書に反映させることに注力しました。その結果、露出面に残る手足の傷痕について、後遺障害等級14級5号の認定を獲得することができました。

保険会社が否定した逸失利益を紛争処理センターで粘り強く交渉

後遺障害等級が認定された後、相手方保険会社との交渉を開始しました。保険会社は、手足の傷痕による逸失利益(将来得られるはずだった収入の減少分)の発生を否定し、交渉では一切譲歩しようとしませんでした。

この状況に対し、当事務所の弁護士は、Xさんの美容師としての職業特性や家事・育児への支障、精神的な苦痛などを具体的に立証するため、紛争処理センターに和解あっせんの申立てを行う戦略を選択しました。紛争処理センターは、訴訟に比べて迅速な解決が見込める一方で、裁判基準に近い水準での和解が期待できる有効な手段です。

紛争処理センターでは、Xさんの手足の傷痕が仕事や日常生活に与える具体的な支障を詳細に説明し、逸失利益の必要性を粘り強く主張しました。

醜状痕の逸失利益が認められ約475万円を獲得!

解決結果と賠償金の内訳

当事務所が紛争処理センターでの和解あっせん手続きを通じて、粘り強く交渉した結果、Xさんは最終的に約475万円の賠償金を獲得しました。これは、保険会社が当初否定していた手足の傷痕に関する逸失利益も認められたことによる大きな成果です。

主な損害項目と最終的な受領額(※治療費は除く)は以下の通りです。

損害項目 認定額(約) 備考
休業損害 366万円 事故による収入減少分
傷害慰謝料 178万円 治療期間中の精神的苦痛に対する補償
後遺障害慰謝料 107万円 後遺障害が残ったことによる精神的苦痛に対する補償
逸失利益 184万円 紛争処理センターで認められた手足の傷痕による将来の収入減少分
その他の費用 21万円 通院交通費、雑費など
自賠責保険金 75万円 醜状痕に対する既払金
合計受領額 475万円 依頼者が最終的に受領した総額(治療費除く)

弁護士からのコメント:被害者請求と紛争処理センター活用が成功の鍵

今回のケースでは、特に2つの点が解決の重要なポイントとなりました。

①被害者請求の方法で後遺障害の手続を行った点

Xさんの場合、手足の傷痕という外見に残る後遺障害が主でした。被害者請求は、依頼者の代理人として弁護士が自ら必要な資料を収集し、後遺障害診断書の内容を慎重に検討した上で手続を行うことができます。これにより、手足の傷痕が仕事や日常生活に与える具体的な支障を医学的に正確に立証し、適正な後遺障害等級(14級5号)の認定に繋げることができました。

②紛争処理センターに和解あっせんの申立てをした点

相手方保険会社が手足の傷痕による逸失利益を認めようとしなかったため、交渉だけでは打開が難しい状況でした。そこで、訴訟よりも柔軟かつ迅速な解決が期待できる紛争処理センターを利用しました。紛争処理センターでは、Xさんの詳細な生活状況や美容師という職業への影響、醜状痕が精神的な苦痛を与えていることを丁寧に説明し、逸失利益の必要性を粘り強く主張しました。

結果として、交渉では得られなかった逸失利益を認めてもらい、大幅な賠償金増額を実現することができました。この粘り強い交渉が、Xさんの不安を払拭し、納得のいく解決へと繋がったと確信しています。

まとめ:手足の傷や後遺障害でお悩みなら、迷わず弁護士にご相談を

交通事故によって手足の傷が残り、後遺障害の認定や賠償金に不安を感じている方は、決して一人で抱え込まず、できるだけ早く弁護士にご相談ください。保険会社との交渉は専門的な知識が必要であり、特に手足の傷痕のような外見に残る後遺障害は、その影響が軽視されがちです。しかし、適切な後遺障害等級を獲得し、逸失利益を含めた正当な賠償金を得るためには、弁護士による専門的なサポートが不可欠です。

当事務所では、今回のXさんの事例のように、被害者請求や紛争処理センターの活用など、お客様一人ひとりの状況に合わせた最適な戦略を提案し、最大限のサポートを提供しています。手足の傷や後遺障害に関するお悩みはもちろん、「保険会社との交渉がうまくいかない」「適切な賠償金がもらえるか不安」といった疑問にも、親身になってお答えいたします。まずはお気軽にご相談いただき、安心した未来への一歩を踏み出しましょう。

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