【上肢・下肢の露出面の醜状(手足の傷痕)で後遺障害14級】紛争処理センター活用で逸失利益を含む受領総額約480万円を得た解決事例



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交通事故で手足(上肢・下肢)の露出部分に傷痕が残ると、痛みが落ち着いた後も見た目の負担や服装の制限、人目が気になるといった精神的な悩みが長く続きます。

ところが、保険会社からは「傷痕があっても身体の運動機能には影響がなく、労働能力は失われていない」として、本来支払われるべき逸失利益(将来の収入減少に対する補償)をゼロと提示してくるケースが少なくありません。

本件は、歩行中の事故で手足に傷痕が残った30代女性について、弁護士が被害者請求を行い、上肢および下肢の露出面の醜状として後遺障害第14級4号・5号の認定を獲得。

さらに、(公財)交通事故紛争処理センターの手続を活用し、傷痕が対人関係や就労意欲に及ぼす影響を法的に主張することで、当初否定されていた逸失利益を認めさせ、受領総額約480万円で解決した事例です。

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相談者プロフィール

ご相談者は30代の女性Xさんです。対人サービス業として手や腕を使う場面が多い仕事をしており、勤務中は人前に出る機会も少なくありません。

生活面でも、家事や外出など日常の動作で手足を使うことが多く、事故後の生活への影響を強く心配されていました。
特に、「上肢(腕)や下肢(足)の露出面」に残る傷痕は、長袖などで隠したくても季節や服装によっては難しく、心理的な負担になりやすいものです。

Xさんも、外出時の服装や周囲の視線が気になり、以前のように行動できないことが増えていきました。

事故の概要

Xさんは歩行中、進行してきた車両と接触して転倒し、路上で強く体を打ちました。衝撃により、上肢や体幹、下肢に広い範囲の外傷が生じ、骨折や熱傷(やけど)を含む大けがを負うことになりました。

事故後は救急搬送の上で治療が開始され、通院やリハビリが続きました。痛みだけでなく、皮膚の変色や盛り上がりなど外見上の変化が残る可能性も早い段階から意識せざるを得ず、心身ともに負担の大きい経過となりました。

受傷内容と治療経過

Xさんは前腕の骨折や鎖骨の骨折、熱傷、全身の擦過傷などのけがを負いました。治療では固定やリハビリが必要となり、日常の動作にも支障が出ました。仕事面では、手を動かす、腕を上げるといった動作が痛みにつながり、復帰の見通しが立ちにくい状態が続きました。

また、左大腿部、肘付近、下腿などの「露出面」に加え、腰部などの「体幹部」にも広範囲に傷痕が残りました。後遺障害(醜状障害)の認定においては、傷の場所が「露出面」か「それ以外(体幹等)」かによって、「手掌大(手のひら大)」や「鶏卵大」といった認定に必要な大きさの基準が異なります。

時間の経過で傷の色味が薄くなることがあっても、後遺障害は原則として「症状固定(これ以上治療しても効果が期待できない状態)」の時点で判断されます。そのため、適切な等級認定を得るためには、症状固定のタイミングを見極め、その時点での傷の位置や大きさを正確に測定し、図面や写真で資料化しておく必要がありました。

相談時の悩み・課題

1.手足の傷痕は後遺障害として認められるのか

手足の傷痕は「露出面(人目につく部分)」に残った場合、その大きさによって後遺障害として認定されます。具体的には、「上肢(腕)の露出面」であれば第14級4号、「下肢(足)の露出面」であれば第14級5号の認定基準(いずれも手掌大=手のひら大の醜状痕)が設けられています。

ただし、単に傷があればよいわけではなく、位置や大きさが正確に測定され、基準を満たしていることが資料(後遺障害診断書や写真)で証明されなければ、適切な等級には届きません。

Xさんが当事務所に相談された時点で、最大の不安は手足の傷痕が後遺障害として認められるのか、認められても「見た目の問題」として逸失利益は結局ゼロのままではないかという点でした。保険会社とのやり取りの中で説明が噛み合わず、今後の手続の流れも見えにくい状態でした。

2.逸失利益を否定されたら、どう対応すべきか

職種や対人業務の有無、手足を露出する頻度、あるいは「対人関係構築への消極的影響(心理的萎縮)」などを具体的に主張・立証できれば、逸失利益を含めた解決が視野に入ります。

保険会社は、醜状障害は手足の運動機能自体には問題がないため、労働能力に影響しないとして、逸失利益を否定する傾向が強いです。しかし、Xさんは対人サービス業であり、傷痕が業務や対人関係に与える影響は無視できないものでした。この点で行き詰まりを感じていました。

弁護士の対応・戦略

1.被害者請求で何を整えたか

当事務所は、まず後遺障害の土台を固めることを優先し、症状固定後に「被害者請求」で後遺障害申請を行いました。被害者請求では、提出資料の組み立てを被害者側で主導できるため、傷痕の範囲や濃さが正確に伝わる写真や図面(醜状図)を漏れなく整えることができます。

医療記録や治療経過の整理に加え、傷痕が日常生活や就労にどう影響しているかをXさんから丁寧に聴き取り、陳述書等の説明資料としてまとめました。結果として、下肢の傷痕について後遺障害第14級5号および上肢について第14級4号の認定を得ました。

2.交渉が動かない局面でどう方針転換するか

等級認定後も、保険会社は「労働能力の喪失はない」として逸失利益を否定し続けました。任意交渉だけでは解決が困難であったため、当事務所は(公財)交通事故紛争処理センターへの申立てを行いました。紛争処理センターは、裁判所の基準に準拠した公正な「裁定」を行うADR(裁判外紛争解決手続)機関です。

ここで弁護士は、単なる見た目の問題にとどまらず、傷痕が業務上の対人折衝や配置転換の可能性に及ぼすリスクを法的に主張しました。その結果、センターの嘱託弁護士(審査員)の理解を得て、逸失利益を含めた内容での和解案が示され、合意に至りました。

争点とポイント

1.なぜ逸失利益が争点になりやすいのか

結論として、保険会社は「醜状障害は身体の運動機能に障害を及ぼさないため、減収は発生しない(労働能力喪失はない)」と画一的に主張しがちだからです。

しかし実際の裁判実務では、現実に減収がない場合でも、将来の転職や昇進における不利益、対人関係への心理的影響などを考慮し、労働能力喪失(逸失利益)を認めるケースがあります。したがって、職種や働き方に応じた具体的な不利益を整理して提示できるかが勝負の分かれ目となります。

2.紛争処理センターを使う意味はあるか

交渉が平行線になった場合、訴訟よりも費用や時間の負担が軽く、かつ裁判基準での解決が期待できる紛争処理センターは極めて有効な選択肢です。

本件では、逸失利益を頑なに否定する保険会社の姿勢を覆すため、中立な第三者(センターの弁護士)が判断を下すこの手続を活用し、適切な賠償を獲得しました。

この種の事故では、次の整理で結果が変わりやすい傾向があります。いまの状況で何を優先して整えるべきかを、分かる範囲から一緒に整理できます。

  • ・必要な記録や資料の揃え方
  • ・後遺障害や過失などの争点の立て方
  • ・休業損害や逸失利益など収入面の説明方法

加えて、本件では、醜状障害の逸失利益の主張立証が解決のポイントになりました。後遺障害14級5号を獲得し、逸失利益を含む受領総額約480万円を確保しました。

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解決結果

受領総額約480万円(最終示談金約400万円+既払金約80万円、治療費を除く)で解決しました。

損害項目 認定額(約) 備考
休業損害 366万円 事故による収入減少分
傷害慰謝料 178万円 治療期間中の精神的苦痛に対する補償
後遺障害慰謝料 107万円 後遺障害が残ったことによる精神的苦痛に対する補償
逸失利益 184万円 紛争処理センターで認められた手足の傷痕による将来の収入減少分
その他の費用 21万円 通院交通費、雑費など
自賠責保険金 75万円 醜状痕に対する既払い金
合計受領額 475万円 依頼者が最終的に受領した総額(治療費除く)

担当弁護士のコメント

本件は、後遺障害の等級認定と、その後の逸失利益の獲得交渉を段階的に戦略立てて進めたことが奏功しました。
まず、「被害者請求」により、後遺障害 第14級4号・5号の認定を確実に確保しました。

傷痕(醜状障害)の案件は、漫然と保険会社任せ(事前認定)にすると、傷の大きさの測定が不十分であったり、写真写りの問題で評価が下がったりして、入口で非該当とされるリスクがあります。

最初の段階で弁護士が介入し、認定基準を満たす証拠を整えたことが、その後の交渉の強固な土台になりました。
次に、示談交渉で逸失利益が否定された段階で、速やかに(公財)交通事故紛争処理センターへ手続を移行する判断をしました。

保険会社は「身体機能に支障がないため、労働能力の喪失はない」と画一的に主張しますが、紛争処理センターは裁判所の基準に準拠した判断を行います。

この手続において、傷痕がご本人の「対人関係に及ぼす心理的萎縮」や「業務上の支障」を具体的に主張・立証した結果、逸失利益を含む納得のいく解決に到達できました。

手足の傷痕は軽く見られやすい反面、専門的な主張の組み立て次第で結論が大きく変わる分野だと改めて感じます。

担当弁護士:倉橋 芳英

まとめ

手足の傷痕(露出面の醜状)は、痛みだけでなく見た目の負担が長く残り、生活の選択肢や働き方に心理的な影響を及ぼすことがあります。それでも保険会社からは、「労働能力に影響しない」として逸失利益をゼロ、あるいは極めて低く提示されることが一般的で、個人での交渉には限界があります。

本件のように、被害者請求で後遺障害の土台を固め、交渉が動かないときは紛争処理センターなどのADR(裁判外紛争解決手続)を活用することで、解決の道筋が開けることがあります。

手足に傷痕が残った、後遺障害の申請方法が不安、保険会社から逸失利益を否定されているといった場合は、適正な賠償を得るために、早めに弁護士に相談し、資料と争点を整理することが大切です。

当事務所は、相談料0円、着手金0円です。
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