【自賠責なし、任意保険のみ】でも諦めない!
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20代男性が訴訟で約340万円を獲得し、早期解決した事例
交通事故に遭い、相手が自賠責保険に加入していなかった場合、賠償金の請求は非常に困難に思えるかもしれません。しかし、適切な戦略と対処があれば、正当な賠償を受け取ることは可能です。
この記事では、まさにそのような状況に直面した20代男性の解決事例をご紹介します。相手が自賠責保険に加入していなかったため交渉が難航しましたが、労災保険の認定を活用し、迅速な訴訟提起によって約340万円の賠償金を獲得し、早期に解決したケースです。同様の状況でお悩みの方にとって、この事例が専門家への相談を考えるきっかけとなり、不安を払拭する一助となれば幸いです。
相談者Iさんのプロフィール:事故が奪った日常と仕事への影響
Iさんは、事故当時20代の男性会社員でした。飲食店で店長を務めており、日々の業務では調理や食材の仕入れ、お客様対応、売上管理、そしてパートスタッフの指導など多岐にわたる業務をこなしていました。特に、食材の仕入れなどでは重い荷物を運ぶことも多く、体力を使う仕事でした。
しかし、この交通事故によって首を負傷したことで、Iさんの生活は一変しました。特に頸部に痛みが残り、痺れや可動域の制限がある状態が続いたため、これまで通りの業務をこなすことが困難になり、仕事の効率も大きく低下してしまいました。この状況は、責任感が強く仕事に真摯に取り組むIさんにとって、大きな精神的負担となっていました。
事故の概要:後方からの追突、そして「自賠責保険なし」の現実
交通事故は、Iさんが片側一車線の道路を走行中に発生しました。Iさんの車が前方の車が右折するために停車したところ、後方から来た車に追突されたという、典型的な追突事故です。
この事故により、Iさんは頚椎捻挫、右環指打撲傷、右小指打撲傷などの診断を受けました。事故後、Iさんは長門記念病院、木下整形外科、ひまわり整骨院などで約7か月半にわたり治療を受けましたが、症状は完治せず、左頚部などに痛みや可動域制限が残る「後遺症」が残ってしまいました。
さらに、この事故で最も深刻だったのは、加害者の車両が車検切れのため、自賠責保険を使えないという事実でした。これにより、通常であれば自賠責保険を通して行われるはずの後遺障害の審査や賠償交渉が極めて困難になる状況に直面しました。
相談時の悩み・課題:どうすればいい?自賠責保険切れの相手との交渉の壁
Iさんが当事務所にご相談にいらした際、抱えていた悩みは非常に深刻なものでした。
まず、加害者が加入していた任意保険会社が対応を拒否していました。任意保険は、自賠責保険で補償されない部分をカバーする「上積み保険」としての位置づけであり、自賠責保険の補償部分を超過した損害についてのみ保険金を支払う契約になっているためです。
そのため、任意保険会社は「契約者(加害者)が、自賠責部分を支払うまでは、弊社に示談代行権原がございませんので、対応できません」と主張し、Sさんは加害者に直接賠償金を請求しなければならない状況でした。そのうえ、加害者は弁護士を立ててきたため、Iさんは自分一人ではどのように交渉を進めていけば良いのか全く分からず、強い不安を感じていました。
さらに、加害者が自賠責保険を使えなかったため、通常通り後遺障害の審査を受けられないこと、そして正当な賠償金を受け取れるのかという点についても、非常に大きな懸念を抱いていました。
事故による首の痛みや痺れ、可動域の制限は、店長として重い荷物を運ぶ必要のあるIさんの仕事に大きな支障をきたし、生活そのものにも支障が出ていました。事故直後に加害者から一時金として休業損害分の20万円を受け取ってはいましたが、これだけでは今後の生活を維持していくのが困難だと感じていたのです。精神的な苦痛も大きく、このままではどうなるのかという不安で押しつぶされそうになっていました。
弁護士の対応・戦略:労災保険の活用と迅速な訴訟提起
(1)労災保険での後遺障害認定
受任後、まず、自賠責保険からの後遺障害審査が受けられないため、労災保険からの後遺障害認定を目指すことにしました。Iさんは会社員であり、通勤途中の事故として労災保険の対象となる可能性があったため、このルートを活用することで、後遺障害の存在とその程度を公的に証明することを目指しました。
その結果、Iさんは無事、労災保険から後遺障害等級14級9号の認定を受けることができました。この労災認定が、その後の交渉や訴訟において、後遺障害の存在をスムーズに認めさせ、賠償額の算定を円滑に進める上で非常に有利に働きました。
(2)示談交渉への見切りと訴訟提起
次に、労災保険で後遺障害が認定された後、加害者が依頼した弁護士との示談交渉を開始しましたが、相手方が自賠責保険に未加入であることから、交渉は難航し、まとまりませんでした。弁護士は、長期にわたる示談交渉では早期解決が見込めないと判断し、迅速に示談交渉を打ち切り、訴訟を提起する決断を下しました。
一般的に訴訟は解決までに約1年を要すると言われますが、このケースでは、訴訟提起後わずか約4ヶ月で当方の請求がほぼ全面的に認められる形で和解が成立し、スピーディな解決を実現することができました。
訴訟での和解によって損害額が確定したことで、これまで対応を拒否していた加害者の任意保険会社は、最終的に認定された賠償額を速やかに一括で支払いました。これにより、Sさんは経済的な不安から解放され、解決に至ることができました。
解決結果:弁護士介入で賠償金が約340万円に増額!スピーディな解決
当事務所の弁護士が介入し、労災保険の後遺障害認定と迅速な訴訟提起を行った結果、Iさんは最終的に約340万円の賠償金を受領することになりました。
最終的にIさんが受け取った主な賠償項目の内訳は以下の通りです。
損害項目 | 受領金額(約) |
---|---|
休業損害 | 約9万円 |
傷害慰謝料 | 約100万円 |
逸失利益 | 約106万円 |
後遺障害慰謝料 | 110万円 |
最終受領総額 | 約340万円 |
この結果は、加害者が自賠責保険に加入しておらず、交渉が困難を極める中で得られた、非常に有利かつ迅速な解決であり、Iさんの経済的・精神的負担を大きく軽減することができました。
担当弁護士のコメント:労災認定と訴訟への移行が早期解決の鍵
本件は、加害者が自賠責保険を使えないという、交通事故の中でも非常に厄介なケースでした。このような状況で、良い結果となったポイントは、以下の2つです。
一つは、労災保険による後遺障害認定を受けた点です。自賠責保険からの後遺障害審査が利用できない中、労災保険を通じて14級9号の後遺障害認定を得られたことは、訴訟においてIさんの後遺障害の存在をスムーズに認めさせ、その後の賠償額の算定を円滑に進める上で不可欠でした。これがなければ、解決はさらに長期化し、不確実なものになっていたでしょう。
もう一つは、漫然と示談交渉を続けるのではなく、早期に見切りをつけて訴訟を提起した点です。相手方が弁護士を立ててきていたにもかかわらず、自賠責保険がないために交渉がまとまらない状況が続いていました。このようなケースでは、いたずらに時間を費やすよりも、早期に訴訟に踏み切ることで、裁判所という中立的な場での判断を仰ぐ方が、結果的にスピーディかつ適正な解決につながることが多いす。本件も、訴訟提起からわずか約4か月で全面勝訴に近い内容の和解に至ることができ、Iさんの負担を最小限に抑えながら、十分な賠償を実現できました。
自賠責保険がない事故では、被害者の方の不安は計り知れません。しかし、適切な法的知識と戦略があれば、道は開けます。同様の状況でお困りの方は、ぜひ諦めずに専門家にご相談ください。」
まとめ:自賠責保険のない相手との交通事故でも、諦めずに専門家へ相談を!
今回の事例は、交通事故の相手方が自賠責保険を使えないという、極めて困難な状況において、専門家である弁護士の適切な戦略と迅速な行動がいかに重要であるかを示すものです。
加害者が自賠責保険を使えない場合、被害者は治療費や休業損害、慰謝料などの請求を直接加害者に行う必要があり、交渉は非常に複雑かつ困難になります。相手が任意保険にも加入していない場合は、さらに賠償金の回収が困難になるリスクも高まります。
しかし、本事例のように、労災保険の活用や、早期の訴訟提起といった戦略を取ることで、正当な後遺障害認定を受け、適正な賠償金を獲得し、しかも比較的短期間で解決に導くことが可能です。
もしあなたが、自賠責保険を使えない相手との交通事故に巻き込まれてしまい、どうすれば良いか途方に暮れているのであれば、決して一人で悩まず、早期に法律の専門家である弁護士にご相談ください。専門的な知識と経験を持つ弁護士が、あなたの状況に合わせた最適な解決策を提案し、不安を解消し、正当な権利を守るために全力でサポートいたします。
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