脊髄損傷の後遺障害

最終更新日2021.5.6(公開日:2021.5.6)
監修者:日本交通法学会正会員 倉橋芳英弁護士

 

脊髄損傷の後遺障害

脊髄の損傷による症状

 脊髄を損傷すると、四肢の麻痺などの重篤な障害が残ります。損傷した部位により症状が変わり、通常は、損傷した部位以下について麻痺が生じます。例えば、頸髄(脊髄のうち首の部分)を損傷すると上半身と下半身の麻痺が生じ、腰髄(脊髄のうち腰の部分)を損傷すると下半身の麻痺が生じます。

 また、損傷の程度によっても症状は変わります。例えば、
脊髄断面の全部を損傷した場合は支配領域の感覚と運動の両方の麻酔や反対側の感覚の麻酔などが生じます。

 


等級認定のポイント

 以上のとおり、脊髄損傷による後遺障害は重篤な症状となりますので、賠償金額も相当に高額になります。被害者の年齢や年収次第では、賠償金額が億単位になることもあるので、保険金の支払いを抑えるために、保険会社は、様々な論点について強く争ってきます。

 したがって、脊髄損傷による後遺障害のケースでは、他のケース以上に、交通事故案件に詳しい弁護士に依頼しないと、賠償金額が大きく減ってしまう可能性が高いといえます。

 また、脊髄損傷のケースでは、適正な等級認定を得ることに加えて、
損傷した部位により症状が変わり、通常は、将来の介護費用、住宅改造費用の計算などが必要となります。

 これらについては、細かな介護内容の拾い出し、書面化(又はビデオ撮影)などの作業が必要となります。介護などで手一杯のご家族が、これらの作業を行うことは想像以上に過大な負担となります。したがって、この観点からも、弁護士に依頼するメリットは大きいでしょう。

 

自賠責の後遺障害等級

 自賠責における後遺障害等級は以下のとおりに規定されています。
 
脊髄の損傷
等級 後遺障害 自賠責
保険金額
労働能力
損失率

1級1号

神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、
常に介護を要するもの
4,000万円 100%

2級1号

神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、
随時介護を要するもの
3,000万円 100%

3級3号

神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、
終身労務に服することができないもの
2,219万円 100%
5級2号 神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、
特に軽易な労務以外の労務に服することができないもの        

1,574万円

 79%

7級4号

神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、
軽易な労務以外の労務に服することができないもの    
1,051万円  56%

9級10号

神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、
服することができる労務が相当な程度に制限されるもの
  616万円  
 35%

12級13号 局部に頑固な神経症状を残すもの
  224万円  14%

 

 

後遺障害等級認定基準

 脊髄の障害については、原則としてCT・MRI、神経学的検査所見等によって他覚的に裏付けることができる麻痺の範囲・程度により等級を認定します。

 なお、脊髄損傷による障害が第3級以上に該当するときは、介護の要否および程度を踏まえて認定します。


等級認定の基準は、以下のとおりです。

脊髄の損傷
等級 認定基準

1級1号

①高度の四肢麻痺が認められるもの
②高度の対麻痺が認められるもの
③中等度の四肢麻痺であって、食事・入浴・用便・更衣等について常時介護を要するもの
④中等度の対麻痺であって、食事・入浴・用便・更衣等について常時介護を要するもの

2級1号

①中等度の四肢麻痺が認められるもの
②軽度の四肢麻痺であって、食事・入浴・用便・更衣等について随時介護を要するもの
③中等度の対麻痺であって、食事・入浴・用便・更衣等について随時介護を要するもの

3級3号

①中等度の四肢麻痺が認められるもの
②軽度の四肢麻痺であって、食事・入浴・用便・更衣等について随時介護を要するもの
③中等度の対麻痺であって、食事・入浴・用便・更衣等について随時介護を要するもの
5級2号 脊髄症状のため、極めて軽易な労務のほかに服することができないもの(①軽度の麻痺が認められるもの、
②1下肢の中等度の単麻痺が認められるもの)

7級4号

脊髄症状のため、軽易な労務以外には服することができないもの(1下肢の中等度の単麻痺が認められるもの) 

9級10号

通常の労務に服することはできるが、脊髄症状のため、就労可能な職種の範囲が相当な程度に制限されるもの(1下肢の軽度の単麻痺が認められるもの)
12級13号 通常の労務に服することはできるが、脊髄症状のため、多少の障害を残すもの(①運動性、支持性、巧緻性および速度についての支障がほとんど認められない程度の軽微な麻痺を残すもの、②運動障害は認められないものの、広範囲にわたる感覚障害が認められるもの)

 

 

脊髄の後遺障害

脊髄の損傷による症状

 脊髄を損傷すると、四肢の麻痺などの重篤な障害が残ります。損傷した部位により症状が変わり、通常は、損傷した部位以下について麻痺が生じます。例えば、頸髄(脊髄のうち首の部分)を損傷すると上半身と下半身の麻痺が生じ、腰髄(脊髄のうち腰の部分)を損傷すると下半身の麻痺が生じます。


 また、損傷の程度によっても症状は変わります。

 例えば、脊髄断面の全部を損傷した場合は支配領域の感覚と運動の両方の麻痺が生じ、半分側を損傷した場合には左右いずれかの感覚と運動の両方の麻痺や反対側の感覚の麻痺などが生じます。

 

自賠責の後遺障害等級

 自賠責における後遺障害等級は以下のとおりに規定されています。

上肢の機能障害
等級        後遺障害 自賠責
保険金額
労働能力損失率
1級1号 神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、
常に介護を要するもの

4,000万円              
100%
2級1号 神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、
随時介護を要するもの
3、000万円 100%
3級3号 神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、
終身労務に服することができないもの
2,219万円 100%
5級2号 神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、
特に軽易な労務以外の労務に服することができないもの
1,574万円  79%
7級4号 神経系統の機能又は精神に障害を残し、
軽易な労務以外の労務に服することができないもの
1,051万円  56%
9級10号
神経系統の機能又は精神に障害を残し、
服することができる労務が相当な程度に制限されるもの
  616万円  35%

12級13号            
局部に頑固な神経症状を残すもの   224万円  14%

脊髄の障害については、原則としてCT・MRI、神経学的検査所見等によって他覚的に裏付けることができる麻痺の範囲・程度により等級を認定します。なお、脊髄損傷による障害が第3級以上に該当するときは、介護の要否および程度を踏まえて認定します。

等級認定の基準は、以下のとおりです。

 

脊髄の損傷
等級 認定基準
1級1号 ①高度の四肢麻痺が認められるもの
②高度の対麻痺が認められるもの
③中等度の四肢麻痺であって、食事・入浴・用便・更衣等について常時介護を要するもの
④中等度の対麻痺であって、食事・入浴・用便・更衣等について常時介護を要するもの
2級1号 ①中等度の四肢麻痺が認められるもの
②軽度の四肢麻痺であって、食事・入浴・用便・更衣等について随時介護を要するもの
③中等度の対麻痺であって、食事・入浴・用便・更衣等について随時介護を要するもの
3級3号 ①軽度の四肢麻痺が認められるもの(第2級に該当するものは除く)
②中等度の麻痺が認められるもの(第1級または第2級に該当するものは除く)
5級2号 脊髄症状のため、極めて軽易な労務のほかに服することができないもの
(①軽度の麻痺が認められるもの、②1下肢の中等度の単麻痺が認められるもの)
7級4号 脊髄症状のため、軽易な労務以外には服することができないもの
(1下肢の中等度の単麻痺が認められるもの)
9級10号 通常の労務に服することはできるが、脊髄症状のため、就労可能な職種の範囲が相当な程度に制限されるもの(1下肢の軽度の単麻痺が認められるもの)
12級12号
通常の労務に服することはできるが、脊髄症状のため、多少の障害を残すもの
(①運動性、支持性、巧緻性および速度についての支障がほとんど認められない程度の軽微な麻痺を残すもの、②運動障害は認められないものの、広範囲にわたる感覚障害が認められるもの)

 

特に弁護士に依頼すべき後遺障害です

 以上のとおり、脊髄損傷による後遺障害は重篤な症状となりますので、賠償金額も相当に高額になります。被害者の年齢や年収次第では、賠償金額が億単位になることもあるので、保険金の支払いを抑えるために、保険会社は、様々な論点について強く争ってきます。

 したがって、脊髄損傷による後遺障害のケースでは、他のケース以上に、交通事故案件に詳しい弁護士に依頼しないと、賠償金額が大きく減ってしまう可能性が高いといえますまた、脊髄損傷のケースでは、適正な等級認定を得ることに加えて、将来の介護費用、住宅改造費用の計算などが必要となります。
これらについては、細かな介護内容の拾い出し、書面化(又はビデオ撮影)などの作業が必要となります。

 介護などで手一杯のご家族が、これらの作業を行うことは想像以上に過大な負担となります。したがって、この観点からも、弁護士に依頼するメリットは大きいでしょう。