2012年12月24日


ネットオークションのトラブル 弁護士倉橋


ペニーオークション問題
最近、ペニーオークション詐欺についてのニュースが巷を騒がせています。
多くの芸能人が安易に自身のブログにウソの書き込みをすることで、詐欺被害を拡大させていたようです。
ウソの書き込みをすることで数十万円の謝礼をもらっていたケースも多いようです。
これらの芸能人は、場合によっては、刑事上は詐欺の共犯、民事上では不法行為による損害賠償請求の対象ともなり得ます。大いに反省して欲しいものです。

取引相手の所在の把握がポイント
今回の件に限らず、近年、ネットオークションの普及によりトラブルも増えています。
ネットオークションは、相手と直接会うことも話すこともなく取引をすることができますから、いざトラブルとなった時に相手方の所在がわからずに何の請求もできないということがよくあります。
したがって、ネットオークションによるトラブルを解決できるか否かのポイントは、取引の相手を特定できるかにあります。

この点、取引相手が販売業者である場合には、特定商取引法上、氏名または名称、住所、電話番号を表示しなければならないので、取引相手を特定することは容易です。
(なお、ここにいう「販売業者」には、お金を儲ける意思で反復継続して出品をしている場合は、会社か個人かを問わずに該当します。)。

しかし、取引相手が個人の場合には、その特定は難しいです。
実務上は、弁護士会照会(弁護士法23条の2)という方法で、弁護士が弁護士会を通じてオークションサイトに照会をかける方法で取引相手の特定を試みることが多いです。
もっとも、この方法でも、オークションサイトに強制的に情報を開示させることはできないので、開示を拒否された場合はお手上げです。

したがって、トラブルを未然に防ぐためには、名称や住所などを開示している業者としか取引をしないであるとか、個人との取引の場合には、入金の前に電話などの手段で連絡を取ることができるか確認するなどした方が安全です。

補償制度の利用
注意をしていたが被害にあってしまった場合には、各オークションサイトが用意している補償制度を利用して被害回復ができる場合もあるでしょう。
例えば、ヤフーオークションでは、「未着トラブルお見舞い制度」という補償制度があるようです。この制度は、事前の申し込みなどは不要で、トラブルにあった後での申し込みでよいようです。
他のサイトでも、このような補償を用意している場合が多いでしょうから、取引をする前に確認しておくのがよいでしょう。

まとめ
ネットでの取引は、簡単で便利な反面落とし穴も多いものです。
そういうことを意識しながら、慎重に利用していきましょう。

作成日:2012年12月24日
執筆者:弁護士 倉橋芳英