【解決事例/053】下肢脛骨高原骨折による症状につき、12級13号の後遺障害が認定され、紛争処理センターの和解あっせん手続により解決をしたケース

12級,兼業主婦,歩行,骨折

依頼者属性性別女性
年代30代
職業家事従事者(兼業主婦)
事故態様と相談事故場所杵築市
事故状況歩道を通行中に、駐車場から道路に急発進で出ようとした自動車にはねられた。
相談のタイミング約8か月後
相談のきっかけ休業損害の内払いなどの保険会社との交渉を弁護士に依頼したい。
怪我と後遺障害傷病名左脛骨高原骨折
自覚症状左膝関節痛、左下腿骨痛、正座不能など
後遺障害等級12級13号
保険会社提示額事前提示なし(保険会社が金額を提示する以前に弁護士が介入したため)
獲得賠償金額損害項目最終受取金額
金額約1061万円
備考治療費などを含めた賠償総額約1893万円

相談から解決までの流れ

 歩道を通行中に、駐車場から急発進で出てきた自動車にはねられ、下肢の脛骨高原骨折を受傷したケースです。当事務所に相談される前に、他事務所の弁護士に依頼をしていましたが、休業損害の内払いなどの保険会社との交渉が思うように進まなかったため、その弁護士との委任契約を解除して、当事務所に相談にみえ、受任に至りました。

 

 依頼者は、事故前、自営業を営んでいましたが、事故による症状のため、事故後、一切仕事ができない状況で、収入は、保険会社からの休業損害の内払いに頼らざるを得ない状況でした。したがって、受任後、直ちに保険会社との間で休業損害の内払い交渉を行い、支払いが遅れていた休業損害の内払いを再開させました

 

 その後、しばらくは、休業損害の内払いを受けながら通院治療を継続し、事故から約1年6か月後に症状固定としました。自賠責保険への被害者請求にあたっては、主治医と医師面談をし、後遺障害診断の診察に立ち会いました。自賠責保険への被害者請求の結果、膝関節痛、正座不能などの症状につき、「局部に頑固な神経症状を残すもの」として、自賠責保険の12級13号の後遺障害が認定されました。

 

 後遺障害の認定後、最終的な賠償金の示談交渉を行いました。依頼者は、事故前、自営業をしながら家事を行っている兼業主婦でしたので、当方は、家事従事者としての休業損害と逸失利益を請求しましたが、その金額につき、相手方と争いになりました。任意の交渉の段階で、休業損害と逸失利益の金額の開きが大きかったため、当事者どうしでの交渉による解決は困難であると判断し、交通事故紛争処理センターへ和解あっせんの手続を申し立てました。
 紛争処理センターでの手続の中で、事故前の依頼者の就労の状況や同居の家族は持病のために家事を行うことができないことを詳細に説明した結果、休業損害と逸失利益が増額された和解あっせん案で示談をすることができました。


 

担当弁護士の振返りポイント

 重傷案件で、他事務所の弁護士との委任契約を解除した後のケースでしたが、受任時に想定していたとおりに進めていくことができ、最終的な解決まで至りました。

 

 本件のように、重傷の案件では、長期間仕事を休業せざる得ないことも多く、休業損害の内払いが重要になります。本件でも、受任後に、遅れていた休業損害の支払いを速やかに再開させ、症状固定まで内払いを継続させたことで、しっかりと治療に専念することができました

 

 交通事故で重傷を負った後、後遺障害が認定され、裁判所基準による適正な賠償金を得たとしても、一生分の生活に十分な金額の賠償を得ることができるのは、後遺障害等級の1級から3級といった非常に重たい後遺障害のケースに限られます。加えて、症状固定後は、休業損害の支払いを得ることができません。したがって、重傷を負って後遺障害が残りそうだとしても、症状固定後には、仕事に復帰をし、新たな生活をスタートさせるための準備を、治療期間中に、しっかりと行っていくことが重要です。交通事故は、適正な賠償金をもらったところがゴールではなく、再び社会に復帰して、しっかりと生活をしていくことがゴールなのだと思います
 本件では、治療期間中から、仕事に復帰することがゴールであることを依頼者と話し、医師と医師面談を行い、仕事の復帰の時期や条件などについて、医師を交えて考えていきました。依頼者も、治療を続けていく中で、身体の怪我の症状が軽減されるとともに、徐々に事故による精神的ショックからも立ち直っていってくれているように感じました。そして、最終的な解決の段階では、前向きに、生活の再建へと踏み出してくれたと感じています。

 

 待合室で診察の順番を待っている時に、依頼者から言われた言葉が嬉しく、いまでも心に残っています。「弁護士も担当の事務員さんも、親切にしてくれて、本当に助けられている。いまは、安心して治療に専念できている。事故にあって、悪いことばかりだったけど、事故にあったから先生達に出会えた。だから、最近は、少しずつ、前向きな気持ちになれている。」このようなことを仰ってくれました。交通事故を扱う弁護士にとって、これほど嬉しいことはないのかもしれません。

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