【弁護士ブログ】健康診断の時期ですね――健康情報に関するあれこれ


健康診断の時期ですね――健康情報に関するあれこれ


1.はじめに

こんにちは。弁護士の田中です。

昨日,健康診断に行ってきましたが,体重が増えた以外は変わりありませんでした。

 

さて,大抵の事業者は,労働者に対し,健康診断を行う義務があります。

根拠は労働安全衛生(労安衛)法661項です。

 

今日は健康診断の結果,すなわち健康情報の取扱いに関してお話します。

 

2.健康情報を取得する必要性

労安衛7章には,労働者の健康管理に関する事業者の義務が記されています。

例えば,健康診断を行う義務や,結果に基づく面接指導等を行う義務があります。

また,事業者は,広く労働者の安全に配慮する義務があります。

この義務は,労働契約法5条に記されています。

 

このような義務を果たすためには,当然,労働者の健康情報が必要になります。

健康情報の収集が不十分だと,健康管理も不十分だということになってしまいます。

 

3.健康情報の収集管理に関する義務

(1) 健康情報の収集や管理に関する一般的な注意点

他方で,健康情報は労働者にとって,最も重大な個人情報でもあります。

 

誰だって自分の体重の推移は,できれば知られたくありませんよね。

 

血液検査を受けて,「肝臓の数値が悪いね」なんて知られるのは嫌だと思います。

 

また,健康診断の結果,重大な病気が判明した場合を考えてみてください。

その病気が社会的な差別や偏見にさらされやすい病気だったら。

そうでなくても,周囲の人から必要以上の気遣いを受けたくない人もいますよね。

 

このような重大性から,事業者は健康情報の収集や管理上,一定の義務を負います。

 

(2) 具体的な義務

労働者個人の健康情報を必要もなく第三者に話すのは不法行為です。

わざとではなく,管理に問題があって漏れてしまった場合も同様と判断されえます。

 

また,不必要な健康情報の収集は義務違反として不法行為責任を発生させえます。

裁判例上,無断でエイズやB型肝炎の感染を調べたことが違法になりました。

エイズ感染やB型肝炎ウイルスの感染は,それ自体,労務管理とは無関係です。

日常生活で伝染することはなく,また,通常通り勤務できる病気だからです。

労務管理上は,感染の結果として生じた体調不良を把握すれば通常は十分です。

 

ところで,健康情報は,個人情報保護法で保護される個人情報に該当します。

したがって,健康情報の利用目的を特定かつ公表する義務が生じます。

当然,その利用目的から外れた健康情報の入手や利用は違法です。

なお,個人情報保護法の改正により,今月530日から,義務を課される事業者の範囲が拡大されていますので,注意して下さい。

 

4.おわりに

このように,健康情報は個人情報の中でも特に注意して扱わなければなりません。

最近問題になっているのがメンタルヘルスの情報収集です。

「具合悪そうだから,病院行けよ。」等と受診を命じることも違法になりえます。

メンタルに不調を抱えた場合の対応は特に慎重になる必要があるといえるでしょう。

 

ちなみに,どのような労働者にどのような健康診断を受けさせるかも重要です。

ただ,そのお話は,別の機会に譲ろうと思います。

 

5.参考文献・参考資料

・中窪裕也・野田進著『労働法の世界』(第10版),2013,有斐閣。

・白石哲編著『労働関係訴訟の実務』(初版),2014,商事法務。

・ちなみに田中はB型肝炎の訴訟にも関わっています。

 
(参照http://www016.upp.so-net.ne.jp/oita-Bkan/

 


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