30代のパートタイムの女性について自賠責の最低基準での保険会社の提示を、休業損害他において交渉により裁判所基準での示談ができた事例(約1.3倍・約25万円増額)


30代のパートタイムの女性について自賠責の最低基準での保険会社の提示を、休業損害他において交渉により裁判所基準での示談ができた事例(約1.3倍・約25万円増額)

1 事故発生

依頼者は、狭い道路で離合待ちのため停車中に、後方の駐車場からバックで出てきた相手方車両に、自車の左後方にぶつけられるという交通事故にあいました。依頼者は、この事故により、頸部捻挫のケガを負いました。

2 相談・依頼のきっかけ

依頼者は、事故前は、週に3日パートタイムで働いていましたが、事故によるケガのせいで、事故後はパートタイム休んでいたため、休業損害についての質問などをしたいということでお問い合わせをいただきました
 
法律相談の結果、通院治療のアドバイスや休業損害の請求などの示談交渉を依頼したいという依頼者の意向を受けて受任しました

3 当事務所の活動

(1)治療の終了

依頼者は、約2か月間の通院治療をした結果、自覚症状がほとんどなくなったため、治療を終了し、示談交渉をすることになりました。
 

(2)保険会社からの示談提示

弁護士が受任通知を送る前に、保険会社から提示された示談案の内容は、以下のとおり、自賠責基準での提示(最低基準での提示)でした。

 

損害費目 金額 計算方法
休業損害  約32万円 自賠責基準(家事従事者として、1日あたり5700円として、実通院日数を休業日数として計算)
入通院慰謝料(傷害慰謝料)  約47万円 自賠責基準(通院日数×4200円)
損害合計金額  約80万円
 
 

(3)示談交渉

ア 休業損害
主婦の休業損害の日額を、裁判所基準である全年齢の女性労働者の平均賃金センサスで計算するように保険会社と交渉し、合意しました。

 

イ 入通院慰謝料(傷害慰謝料)
保険会社は自賠責基準で計算してきた示談案を提示してきたため、裁判所基準で入通院慰謝料を計算するように交渉し、合意しました

4 当事務所が関与した結果

上記の交渉の結果、以下のとおり示談金を増額することができました。

 

損害費目 交渉前 交渉後 増額
休業損害 約32万円 約53万円 約21万円
入通院慰謝料(傷害慰謝料) 約47万円 約51万円 約4万円
合計 約80万円 約105万円 約25万円
 

5 解決のポイント(所感)

依頼者が、事故にあわれてから比較的早い段階に相談に来てくれたことと、弁護士費用特約を付けていたことで、裁判所基準での示談を行うことができました
 
今回のように、後遺障害が残らなかった場合、賠償金の総額があまり大きくならないため、弁護士に依頼した場合、弁護士費用倒れになるおそれがあります。したがって、後遺障害の残らない相談者は、弁護士費用特約がない場合は、なかなか受任することが難しいという現状があります。
 
しかし、今回の依頼者は、弁護士費用特約を付けていたため、後遺障害が残らないケースであっても受任することができ、結果として裁判所基準での示談をすることができました。