高次脳機能障害

高次脳機能障害とは

交通事故によって脳に損傷を受け、意識不明状態に陥ったが集中治療の結果、奇跡的に意識を回復し社会復帰したものの、事故前と比較して人格や性格が変わってしまったり、もの忘れがひどくなるなどして働き続けることができないケースがあります。

 

 このように、交通事故において脳に損傷を受けた者が、外見上は回復したように見えるのに、認知障害や行動障害、人格変化などの症状が生じ、日常生活・社会生活の適応能力が低下または喪失し、障害の程度によっては社会復帰が困難になる後遺障害のことを高次脳機能障害といいます。

 

脳外科医でも見落とすことが多い後遺障害です

 高次脳機能障害は、被害者やその家族が交通事故による後遺障害であると気づいていないケースが多いので注意が必要です。

 また、脳外科医が高次脳機能障害であることを見落としていないかもチェックする必要があります。

 

 脳に損傷が生じるような交通事故の場合は,生死の境をさまようような重篤な状態が一定期間続くことが多いため、命が助かり、そのうえ奇跡的に意識も回復すれば、それ以上の異変に気付かない場合も多いです。特に、麻痺などの障害がない場合には、異変に気づきにくく、高次脳機能障害であることが見落とされがちです。

 

 したがって、交通事故の後に、日常生活で変わった症状が始まった場合には、高次機能障害を疑い、交通事故に詳しい弁護士に、できるだけ早く相談するようにしてください。

 

交通事故による高次脳機能障害の診断要素

 高次脳機能障害の診断にあたっては、

  ①交通外傷による脳の受傷を裏付ける画像検査結果があること
  ②一定期間の意識障害が継続したこと
  ③一定の異常な傾向が生じていること

が基本的な要素となります。

 

① 交通外傷による脳の受傷を裏付ける画像検査結果があること

 交通事故による高次脳機能障害といえるためには、交通事故によって頭部にケガを負い、このケガによって脳に器質的病変が生じているといえることが必要です。

 

 そして、脳に器質的病変が生じていると認定するための資料として、CTやMRIなどの画像所見が重視されています。



 CTやMRI画像での継時的観察による脳出血(硬膜下出血、くも膜下出血などの存在とその量の増大)像や脳挫傷痕の確認があれば、交通事故による頭部の外相による脳損傷の存在が確認されやすいです。CTで所見を得られない患者については、受傷後早期にMRIを撮影することが望ましいとされています。

 

 したがって、交通事故で頭部をケガした場合には、事故から2~3日以内には、CTやMRIでの画像診断を行うことがとても重要です。

 

② 一定期間の意識障害が継続したこと

 交通事故による高次脳機能障害は、頭部にケガを負って意識障害が出た後に起こりやすいとされています。

 

 受傷直後において、半昏睡~昏睡で開眼・応答しない状態が6時間以上継続する場合は、永続的な高次脳機能障害が残ることが多いといわれています。

 

 また、健忘症あるいは軽度意識障害が少なくとも1週間以上続くと高次脳機能障害が残る可能性が出てくるといわれています。

 

 したがって、事故直後にこれらの意識障害があった場合には、その旨を必ずカルテに記載してもらうようにしてください。

 

 そして、交通事故の後に上に書いたような意識障害があった場合には、高次脳機能障害が生じている可能性があるので、できるだけ早く交通事故に詳しい弁護士に相談するようにしてください。

 

③ 一定の異常な傾向が生じていること

 交通事故による高次脳機能障害を疑わせる異常な傾向が、交通事故による頭部のケガをきっかけに発生していることが必要です。異常な傾向の具体例としては、次のようなものが指摘できます。

 

  ・感情の起伏が激しく、気分が変わりやすい
  ・場所をわきまえずに怒って大声を出す
  ・話がまわりくどく、話の内容が変わりやすい
  ・服装、おしゃれに無関心か不適切な発言をする
  ・性的な異常行動や性的羞恥心の欠如がみられる
  ・並行して作業することができない
  ・周囲の人間関係で軋轢を生じる

 

 交通事故の後に、「人が変わった」、「嫌な奴になった」、「変な奴になった」、「親友が離れていった」などの変化がある場合は要注意です。

 

 さらに、精神面の異常だけでなく、身体機能の異常にも着目する必要が有ります。

  ・起立障害・歩行障害
  ・痙性片麻痺などが併発している
  ・漏らさないようにしなければと分かっていても尿失禁がある
(漏らしているかどうかわからない脊損とは違います。)

 

 交通事故の後に、上に書いたような異常な傾向が始まった場合には、交通事故による高次脳機能障害の可能性がありますので、早めに交通事故に詳しい弁護士に相談してください。そして、弁護士のアドバイスを受けながら、専門医師に神経心理学検査を依頼するなどして、認知能力の低下や人格変化を客観的に示す資料を作成するようにしましょう。

 

高次脳機能障害の症状

高次脳機能障害の症状には、

  ①認知障害
  ②行動障害
  ③人格変化の3つの症状

があります。具体的な症状は下のような症状です。

 

① 認知障害

記憶障害
物の置き場所を忘れる、新しい出来事を覚えていられなくなる、何度も同じことを繰り返し質問する、など。

注意障害
ぼんやりしている、ミスばかりする、2つのことを同時にしようとすると混乱する、ものごとに集中できずすぐに飽きてしまう、など。

遂行機能障害
自分で計画を立ててものごとを実行することができない、人に指示してもらわないと何もできない、いきあたりばったりの行動をする、など。

病識欠落
自分が障害を持っていることに対する認識がうまくできない、障害がないかのように振る舞う、など。

 

② 行動障害

規範性低下
職場や社会のマナーやルールを守れない、周囲の状況に合わせた適切な行動ができない、など。

欲求コントロール低下
我慢できずに無制限に食べたりお金をつかったりする、など。

感情コントロール低下
すぐに怒ったり笑ったりする、突然に感情を爆発させる、など。

対人技能低下
相手の立場や気持ちを思いやることができない、良い人間関係を作ることができない、など。

固執性
1つのことにこだわって容易に変えられない、など。

 

③ 人格変化

受傷前には見られなかったような、自発性低下、衝動性など。


 
 交通事故の後に、このような症状が始まった場合には高次脳機能障害である可能性があります。


 しかし、このような症状があっても、それが交通事故の後遺症であると被害者自身が気づいていないことが多いです。また、脳外科医も高次脳機能障害を見落としているケースが多いです。


 したがって、交通事故の後に上のような症状が始まった場合には、できるだけ早く交通事故に詳しい弁護士に相談してください。

 

当事務所の代表的な解決事例

~高次脳機能障害を負った10代男性が,約850万円の増額を得た事例~

相談のきっかけ

 依頼者は大分市在住の10代男性でした。
 依頼者は友人のバイクに同乗中,前方から右折して来た車と衝突し,脳挫傷を負いました。
 依頼者は,8日間の入院,約1年間の通院の結果,高次脳機能障害7級4号を認定されました。
 その際,相手方保険会社から,約4200万円の支払い提示を受け,弁護士に相談に来られました。

当事務所の活動

① 被害者請求の先行
 本事案は,示談金が高額で,交渉が長引くと,入金までに時間がかかるものでした。
 そこで,自賠責保険に「被害者請求」の手続きを行い,一部の保険金を先行して受領しました。
 本事案は,バイク運転者と相手運転者との共同不法行為で生じた損害の為,同乗したバイクの運転者と相手車両の運転者の自賠責保険にそれぞれ被害者請求が可能でした。
 これにより,手元に必要なお金がないため,示談に十分な時間が取れなくなるという事態を防ぎました。

② 裁判基準による示談交渉
 上記①のあと,保険会社に裁判基準で慰謝料請求を行いました。

 

解決金額

 

保険会社当初金額 約4224万円
当事務所が関与した結果 約5078万円

 

解決のポイント

被害者請求を先に行うことで,余裕をもって保険会社と交渉できました。

 

 

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