むちうち(頸椎捻挫)について大分県の交通事故に詳しい弁護士が解説

「むちうち」とは ~むちうちのケガと「問題点」

 「むちうち」は,交通事故ではもっとも現れやすいケガの一つです。
 軽く考えてしまいがちなケガですが,治療が長期間に及んだり,場合によっては,14級や12級の後遺障害等級が認定されることもあります。

 「むちうち」について正しい知識をもって,正しい賠償を受けましょう。

 

「むちうち」とは

むちうちの定義

 そもそも「むちうち」とは,背骨に急激に力が加わることによって,背骨の可動域を超える過伸展,過屈曲(曲がりすぎること)が生じて現れる種々の症状を総称したものをいいます。

 整形外科では,首のむちうちであれば,「頚椎捻挫」・「外傷性頚部症候群」,腰のむちうちであれば,「腰椎捻挫」・「外傷性腰椎症」などとして診断名を付けられます。
 

交通事故によっておこる障害の半数以上がこの症状になります。平成26年に全国で交通事故により負傷された方は約72万人いらっしゃいますが、そのうち、全体の約59%が頸部(首)を負傷された方です。

(警察庁「平成26年中の交通事故の発生状況 損傷部位別・状態別死傷者数(平成26年中)」)。

 


むちうちの症状

患部のいたみ

 むちうちの症状の代表格は「痛み」です(医学的には「疼痛」と表現します。)。
 この「痛み」は,患部のほかその周辺にまで及ぶことが多くあります。

 たとえば,首のむちうちであれば,首から肩・肩甲骨あたりまで痛みがあることがありますし,腰のむち打ちであれば,腰から背中・お尻まで痛みが出ることがあります。


鈍麻感,感覚消失などの神経症状

 むちうちによって,痛み以外の症状も出ます。
 たとえば,首のむちうちによって,肩が重だるく感じられたり,張り,凝りが取れないといったこともあります。


上肢・下肢へのしびれ

 重症のむちうちでは,手足に影響が出ることがあります。
 首の背骨には腕や手につながる支配神経が近接しており,腰の背骨には脚につながる支配神経が近接しているため,むちうちによる影響がこれらの神経を圧迫したりすることがあるからです。


吐き気・めまいなど

 さらに,むちうち直後の症状として,吐き気・めまいなどが出ることもあります。
 これらをバレ・リュー症状と呼んでおり,病院ではブロック注射によって抑制することが多いです。


むちうちの「問題点」

 交通事故ではとても症例の多い「むちうち」ですが,適切な賠償を得るにはとても注意が必要なケガなのです。

「むちうち」は客観的には認識できないことがある

 むちうちは,背骨に大きな力がくわわったときに起こる症状ですが,じつは,骨や筋肉,神経に一見異常がないのに痛みが発生し,持続するということが多いのです。
 レントゲンやMRIを撮影しても,一見異常が認められないにも関わらず,痛みが出ることが医学的に知られているケガと表現することもできます。

 したがって,「患者が本当に痛いのか」どうかは,患者の自覚症状以外に,証明方法が少ないのです。

 ですから,保険会社は,むちうちの交通事故被害者に対して,治療の早期打ち切りを提案してきたりするのです。
 また,後遺症として残存してしまった場合には,きちんとむちうちを証明できるような資料を集めて後遺障害申請をする必要が出てきます。


  「むちうち」についての保険会社との交渉や,後遺障害の申請に悩んだ際は,まず弁護士に相談してみましょう。

 
 

「むちうち」12級と14級の違い ~他覚的「証明」と「説明」

1 「12級と14級」では大きな差がある

  頚椎捻挫による頚部痛や上肢のしびれ,腰椎捻挫による腰痛等が残存した場合,後遺障害等級としては,「非該当(自賠責保険上の後遺障害として認定しないこと)」,「14級9号」,「12級13号」のいずれかと判断されます(下表参照)。

 非該当,14級,12級で,賠償される範囲に大きな違いがあることがわかります。

むちうちの後遺障害結果と保険金・賠償金の違い

等級 医師による
必要所見
自賠責保険の
支払限度額
裁判基準での
後遺症慰謝料の目安
12級13号  ・神経学的所見
 ・画像所見
224万円 290万円
14級9号  ・神経学的所見
 ・自覚症状と一致
75万円 110万円
非該当 なし なし

 

 

2 12級・14級の区別基準

一般的な基準 

 では,むちうちの後遺障害等級の判断を分ける基準と言うものはどういったものなのでしょうか。
 自賠責保険が用いている表現は,以下のとおりです。

等級 公表されている基準
12級13号 局部に頑固な神経症状を残すもの
14級9号 局部に神経症状を残すもの


 では,どういった症状が「局部に頑固な神経症状を残すもの」にあたり,どういった症状が「局部に神経症状を残すもの」に当たるのでしょうか。


実際の認定理由

 むちうちによる後遺障害について,12級13号,14級9号が認定された場合,以下のような文章が理由書に記載されます。

等級 認定理由の記載の一例

12級
    
・○○画像上,○○所見が認められ(神経系統の)所見が認められることから,
・他覚的に神経系統の障害が証明されるものと捉えられ,
・『局部に頑固な神経症状を残すもの』として別表第二12級13号に該当するものと判断します。」
14級
・他覚的に神経症状の障害が証明されるものとは捉え難いものの,
治療状況や症状経過等を勘案すれば,将来においても回復が困難と見込まれる障害と捉えられることから
・『局部に神経症状を残すもの』として別表第二14級9号に該当するものと判断します。』


 ここから,むちうちによる後遺障害が12級となるには,「他覚的に神経系統の障害が証明される」必要があることがわかります。
 さらに,「他覚的に証明される」とは,少なくとも,画像所見と神経学的所見とが一致していることが必要であるとの見解が一般的です。
(※後遺障害等級の専門家は,以上をまとめて,12級は「症状が『証明』できる」,14級は「症状が『証明』まではできないが『説明』はできる」ものと表現しています。)



「他覚的に証明される」の意味

 「画像所見と神経学的所見の一致」とは,「画像上,脊椎周辺の神経の圧迫所見があり,当該神経の支配部位に,圧迫の態様と整合する異常反射等の所見がある」ということだと考えられます。
(整形外科学上,神経の圧迫の態様によって,反射がなくなる,減退する,出過ぎるといった影響が細かく分けられているのです。


 以上をまとめると,むちうちによって,12級が認定されるためには,少なくとも,①けがをした患部だけでなく,腕,足などまでに神経症状が自覚されており,②画像に圧迫所見があり,③画像の圧迫所見と腕,足などの神経症状の態様が一致するという要件があると言われているのです。

 したがって,むちうちによる後遺症について適正な等級を獲得するためには,必要な検査を吟味しなければならないのです。

 

「むちうち」の判別検査 ~症状に合わせた各種検査

「むちうち」による症状は検査によって証明・説明できることがある

 「むちうち」症が,交通事故事案の処理を困難にする理由は,「痛みやしびれの自覚症状があるのに,レントゲン・CT・MRI画像に異常がない」ことが多いためです。

 他方で,むちうちで,適切な等級の後遺障害認定を受けるためには,他覚的所見が認められ,症状の残存が医学的に証明できたり説明できたりする必要があります。


 そこで、画像検査以外の検査で他覚的所見が認められるか否かが重要になります。

 むちうちの検査には、数多くの種類の検査があり、検査の客観性や信頼性もそれぞれ異なります。
 したがって,適切な検査を,きちんと主治医に施行してもらうことが重要です。

 以下では,代表的な検査方法について説明します。

「むちうち」を判別する検査

※各種検査の記載例(首のむち打ちで14級の被害者の例)

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スパーリングテスト・ジャクソンテスト

スパーリング(Spurling)テスト 頭部を後屈・側屈させ,両手で下方に圧迫する検査
ジャクソン(Jackson)テスト 頭部を背屈させ,額部を下方へ押さえる検査

 これらの検査は,首のむちうちの判別に用いられる検査で,頭を傾けて下方に押し付けて,痛みが誘発されるかどうかを判定するものです。
 頭を特定の方向に傾けて押し付けることで,椎間孔が圧迫されます。この圧迫により,神経根に障害がある場合には,その神経根の支配領域に痛みが生じます。
 痛みが生じない陰性(-)で正常です。痛みが生じた場合には,陽性(+)となり,神経根障害が疑われます。

 腰のむち打ちでは,同様の検査として,ラセーグテスト,SLRテスト,FNSテストと言うものがあります。

 これらのテストは,神経根症状誘発テストと総称されます。
 特段の器具を要せず,簡易に出来ることが利点です。
 しかし,神経根症状誘発テストとは「特定の状況で痛みが引き起こされるか」を測るテストであるため,被験者(患者)の主観が入らざるを得ず,その意味で,客観的検査としては,証明力が弱い部類に入ります。


筋委縮テスト

 筋委縮テストとは,筋肉の委縮,すなわち,腕や脚の太さを測る検査です。
 むちうちにより上肢や下肢に症状が残存した場合,患者は,症状のある上肢・下肢を無意識のうちにかばい動きを少なくします。
 すると,患部の筋肉は萎縮を始めるため,症状のない上肢・下肢(症状のある上肢下肢の反対側)とくらべ,細くなっていきます。
 筋萎縮検査では,両上肢の肘関節の上下10cmのところの上腕部と前腕部の腕周りを計測し判断します。該当部分がやせ細っていれば,有効な他覚的所見となります。

 このテストは患者の精神状態や主観によって左右されないため,客観性は高いテストと言えます。
 ただし,むちうちにより,上肢や下肢までに症状が生じるかどうかは患者ごとに異なりますし,症状が生じていても,筋の委縮まで生じるかどうかは,やはり患者ごとに異なります。


深部腱反射テスト(DTR)

 深部腱反射テスト(DTR:Deep Tendon Reflex)とは『腱』をゴムのハンマーで叩き,刺激を与えたときに起こる『反射』を調べる検査です。

 神経に異常がある場合は,異常を来した部位,状態によって,反射は亢進(反射が出すぎること)したり,低下したり,あるいは消失します。

 反射は,被験者が故意に操作することができないため,深部腱反射テストは客観性の高い検査です。
 しかし,むちうち症があるからといって,必ずしも腱反射に異常を来すわけではないことに注意が必要です。


 以上のほかにも数種の検査があります。
 各種検査には長所短所があるので,どの検査を受けるかということは,専門的に検討することが望ましいと言えます。


 

RSD(反射性交感神経性ジストロフィー)とは?

RSDとは

 RSDとは、「交感神経の異常な反射亢進を基盤とする疼痛、膨張、関節拘縮などを主な症状とする病態」と定義されます。
 人は何らかの原因で外傷を受けた場合、外傷から身を守るために体内では正常な交感神経反射が起こり、四肢の血管がいったん収縮します。

 すなわち、血管の収縮によって過剰な出血を防止し、また余分な膨張が生じないように体内で作用し、その後、外傷が治癒した場合、交感神経の異常がなければ、交感神経反射は自然と消失し、血管は元の状態に拡張します。
 
 しかし、RSDの患者は、外傷が治癒した後も、この交感神経反射が消失することなく働き続け、そのため、末梢の組織に強い交感神経亢進状態が続くことになり、血管の収縮状態が維持されてしまいます。

 そのため、受傷部位やその周辺の末梢各部に、血液による栄養補給が行き渡らなくなり、激痛を伴うより強い痛みや筋委縮が発生するとされています。

 

RSDの症状と診断

 RSDの主な症状は、疼痛、膨張、関節拘縮(関節を動かす時に痛みが生じる)、骨萎縮、筋委縮、皮膚変化(栄養障害)、末梢循環不全、発汗異常、手掌腱膜炎などの様々な症状です。

 なかでも疼痛は、原因となる外傷に不釣り合いなほど強い症状であること、外傷よりも末梢の四肢に広がることが多いこと、他覚的所見に乏しく症状の正確な診断が難しいという特徴があります。

 

RSDの後遺障害認定のポイント

 RSDの等級認定の際、ポイントとなるのは以下の3点です。

  ① 関節拘縮(関節を動かす時に痛みが生じる)
  ② 骨の萎縮
  ③ 皮膚の変化(皮膚温の変化、皮膚の萎縮)

 


①関節拘縮については、関節機能障害で評価した場合の等級(上肢の関節機能障害、手指の関節機能障害、下肢の関節機能障害、足指の関節機能障害)を参考にします。

②骨の萎縮については、X-P、MRIによりその有無・程度を確認します。

③皮膚の変化については、サーモグラフィー、発汗テスト等の検査結果を確認するとともに、健側と並べて撮影してもらった皮膚のカラー写真を確認します。これらすべてを総合的に評価して等級認定がなされます。

 
 RSDの認定は難しいので、医師と十分な意思疎通を図りながら細心の注意を払って検査する必要があります。専門家の協力なしに適切な後遺障害の認定を受けることが難しい障害ですので、RSDの症状が疑われる場合には、交通事故問題に詳しい弁護士へ相談をしてください。

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